吉川本太平記
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『太平記』は南北朝期の争乱を描いた軍記物語で、戦国時代の武人にも広く愛読された。 尼子氏討伐の陣中で元春は『太平記』40巻を書写し、これは現在に『吉川本』として伝わっている。吉川本太平記は元春自身が書写したもので、現在は財団法人吉川報效会の所有となっており、岩国市の吉川史料館が保管している。太平記本文はカタカナ交じりで、古い形式を良く伝えている。 奥書の朱筆によれば、吉川元春が第1冊を永禄6年(1563年)12月に筆を下し、その後各巻の書写を行って、永禄8年(1565年)7月に第39冊の書写を完成したとしている。別に自筆の太平記目録1冊もある。 太平記には多少の異本の存在が認められ、そのうち最も原作に近いと認められていたのは神田太平記であったが、神田本には14巻の欠失があった。吉川本は神田本に近い内容を有し、しかもほぼ全巻を完備していることから、古典文学研究上きわめて貴重な資料とされる。昭和34年(1959年)12月18日、国の重要文化財(書蹟)に指定された。
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