古注の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/13 03:50 UTC 版)
以下、本記事では上述の最狭義での「古注」を使う。つまり、『河海抄』までの注釈書である。 古注は、より後の注釈と比較して以下のような特徴を持つ。 『源氏釈』、『奥入』、『水原抄』などこの時期の主要な注釈は、写本に書き加えられた注釈(またはもともとはそうであったものを注釈だけを切り出して一冊に仕立てたもの)であること 旧注や新注と比べて全体的に簡単な注釈であること。 語釈に重きを置いていること。さらに言葉の注釈については語源に重きを置いており、一つの言葉は常にただ一つの典拠を持っているとしている。そのことから源氏物語の中でいくつかの個所で同じ言葉が使われているときはその全ては同じ意味で使われているとされていること。(この点は、旧注の最初とされる、一条兼良の『花鳥余情』において「同じ一つの言葉でも使われる場所によって異なる意味で使われることもある。」として批判され否定された。) 全体的に河内方の注釈書が優勢であること。初期の注釈書である『源氏釈』、『奥入』以後は『水原抄』、『紫明抄』、『原中最秘抄』といった京都を遠く離れた鎌倉を中心に活動した河内方によって作られた注釈書が主流になる。現在では河内方のもの以外にも『雪月抄』や『幻中類林』(『光源氏物語本事』)といった『源氏物語』の注釈書が存在したことが知られているが、これら河内方以外の注釈書は『河海抄』や『花鳥余情』などこれに続く室町時代の注釈書において言及されることがほとんど無い。 巣守、桜人、狭筵、法の師といった現行の54帖以外の巻への言及がしばしばあること。
※この「古注の特徴」の解説は、「古注」の解説の一部です。
「古注の特徴」を含む「古注」の記事については、「古注」の概要を参照ください。
- 古注の特徴のページへのリンク