古代イタリア文字 (Unicodeのブロック)とは? わかりやすく解説

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古代イタリア文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 13:09 UTC 版)

古代イタリア文字 (Unicodeのブロック)
Old Italic
範囲 U+10300..U+1032F
(48 個の符号位置)
追加多言語面
用字 古代イタリア文字
主な言語・文字体系
割当済 39 個の符号位置
未使用 9 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
3.1 35 (+35)
7.0 36 (+1)
10.0 39 (+3)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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古代イタリア文字(こだいイタリアもじ、英語: Old Italic)は、Unicodeの174個目のブロック

解説

紀元前8世紀紀元前1世紀ごろに現在のイタリアにあたる地域で話されていた、エトルリア人の話すエトルリア語の表記に用いられたエトルリア文字や、、インド・ヨーロッパ語族イタリック語派オスク・ウンブリア語群に属する諸言語、その他の非印欧語族先印欧語)を含む古代イタリア地域諸言語などで用いられた複数の文字体系の総括したものである古代イタリア文字を収録している。

古代イタリア文字はギリシャ文字の一種である西方ギリシャ文字から派生した文字体系であり、音素文字のうち子音と母音とに独立した文字が割り当てられているアルファベットに分類される。

書字方向は本来多くの場合ヘブライ文字アラビア文字などと同様に右から左への横書き(右横書き)であるが、古くはラテン文字などと同様に左から右への横書き(左横書き)や牛耕式で書かれることもあり、Unicode上では左横書き文字として定義されている[1]

符号位置の順序はおおむね伝統的な古代イタリア文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン3.1において初めて追加された。

収録文字

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 対応するギリシャ文字 ラテン文字転写
字母
U+10300 𐌀 OLD ITALIC LETTER A 音素[a]を表す。 Α a
U+10301 𐌁 OLD ITALIC LETTER BE 音素[b]を表す。 Β b
U+10302 𐌂 OLD ITALIC LETTER KE 母音/e/及び/i/の前の音素[k]を表す。 Γ c
U+10303 𐌃 OLD ITALIC LETTER DE 音素[d]を表す。 Δ d
U+10304 𐌄 OLD ITALIC LETTER E 音素[e]を表す。 Ε e
U+10305 𐌅 OLD ITALIC LETTER VE 音素[v]を表す。 Ϝ v
U+10306 𐌆 OLD ITALIC LETTER ZE 音素[t͡s]を表す。 Ζ z
U+10307 𐌇 OLD ITALIC LETTER HE 音素[h]を表す。 Η h
U+10308 𐌈 OLD ITALIC LETTER THE 音素[tʰ]を表す。 Θ th
U+10309 𐌉 OLD ITALIC LETTER I 音素[i]を表す。 Ι i
U+1030A 𐌊 OLD ITALIC LETTER KA 母音/a/の前の音素[k]を表す。 Κ k
U+1030B 𐌋 OLD ITALIC LETTER EL 音素[l]を表す。 Λ l
U+1030C 𐌌 OLD ITALIC LETTER EM 音素[m]を表す。 Μ m
U+1030D 𐌍 OLD ITALIC LETTER EN 音素[n]を表す。 Ν n
U+1030E 𐌎 OLD ITALIC LETTER ESH Ξ š
U+1030F 𐌏 OLD ITALIC LETTER O 音素[o]を表す。 Ο o
U+10310 𐌐 OLD ITALIC LETTER PE 音素[p]を表す。 Π p
U+10311 𐌑 OLD ITALIC LETTER SHE 音素[ʃ]を表す。 Ϻ ś
U+10312 𐌒 OLD ITALIC LETTER KU 母音/u/の前の音素[k]を表す。 Ϙ q
U+10313 𐌓 OLD ITALIC LETTER ER 音素[r]を表す。 Ρ r
U+10314 𐌔 OLD ITALIC LETTER ES 音素[s]を表す。 Σ s
U+10315 𐌕 OLD ITALIC LETTER TE 音素[t]を表す。 Τ t
U+10316 𐌖 OLD ITALIC LETTER U 音素[u]を表す。 Υ u
U+10317 𐌗 OLD ITALIC LETTER EKS 音素[s]を表す。 Χ
U+10318 𐌘 OLD ITALIC LETTER PHE 音素[pʰ]を表す。 Φ ph
U+10319 𐌙 OLD ITALIC LETTER KHE 音素[kʰ]を表す。 Ψ kh
U+1031A 𐌚 OLD ITALIC LETTER EF 音素[f]を表す。 f
ウンブリア語用の字母
U+1031B 𐌛 OLD ITALIC LETTER ERS r'[2]
U+1031C 𐌜 OLD ITALIC LETTER CHE 音素[ç]を表す。 ç[2]
オスク語用の字母
U+1031D 𐌝 OLD ITALIC LETTER II 音素[e]を表す。

なお、オスク語では字母/e/(U+10304 𐌄)は半広母音の[ɛ]を表していた。

南ピケヌム語でも用いられた。

í
U+1031E 𐌞 OLD ITALIC LETTER UU 音素[o]を表す。

南ピケヌム語でも用いられた。

ú
南ピケヌム語用の字母
U+1031F 𐌟 OLD ITALIC LETTER ESS 何らかの歯擦音を表していたと推測されている[3] ś
数字
U+10320 𐌠 OLD ITALIC NUMERAL ONE 数字の1
U+10321 𐌡 OLD ITALIC NUMERAL FIVE 数字の5
U+10322 𐌢 OLD ITALIC NUMERAL TEN 数字の10
U+10323 𐌣 OLD ITALIC NUMERAL FIFTY 数字の50
北イタリア文字
U+1032D 𐌭 OLD ITALIC LETTER YE 音素[j]を表す。 g
U+1032E 𐌮 OLD ITALIC LETTER NORTHERN TSE
U+1032F 𐌯 OLD ITALIC LETTER SOUTHERN TSE

小分類

このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「ウンブリア語用の字母」(Umbrian letters)、「オスク語用の字母」(Oscan letters)、「南ピケヌム語用の字母」(South Picene letter)、「数字」(Numerals)、「北イタリア文字」(North Italic letters)の6つとなっている[4]

字母(Letters

この小分類には古代イタリア文字のうち、基本的な字母が収録されている。

ウンブリア語用の字母(Umbrian letters

この小分類には古代イタリア文字のうち、紀元前7世紀から1世紀ごろにイタリア半島中部のウンブリア地方で話されていた、インド・ヨーロッパ語族イタリック語派オスク・ウンブリア語群に属するウンブリア語で用いられた追加の字母が収録されている。

オスク語用の字母(Oscan letters

この小分類には古代イタリア文字のうち、紀元前5世紀ごろにイタリア半島中南部のサムニウムカンパニア地方で話されていたインド・ヨーロッパ語族イタリック語派オスク・ウンブリア語群に属するオスク語で用いられた追加の字母が収録されている。

南ピケヌム語用の字母(South Picene letter

この小分類には古代イタリア文字のうち、紀元前6世紀から紀元前4世紀ごろにイタリア半島中南部アドリア海沿岸で話されていたインド・ヨーロッパ語族イタリック語派サベリア語群に属する南ピケヌム語用で用いられた追加の字母が収録されている。

数字(Numerals

この小分類には古代イタリア文字に固有の数字が収録されている。これらの数字体系はのちにローマ数字に変化した。

北イタリア文字(North Italic letters

この小分類には古代イタリア文字のうち、イタリア北部で話されていたウェネティ語ラエティア語レポント語ガリア語古代リグリア語などの北イタリア諸言語用の追加の字母が収録されている。

文字コード

古代イタリア文字(Old Italic)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1030x 𐌀 𐌁 𐌂 𐌃 𐌄 𐌅 𐌆 𐌇 𐌈 𐌉 𐌊 𐌋 𐌌 𐌍 𐌎 𐌏
U+1031x 𐌐 𐌑 𐌒 𐌓 𐌔 𐌕 𐌖 𐌗 𐌘 𐌙 𐌚 𐌛 𐌜 𐌝 𐌞 𐌟
U+1032x 𐌠 𐌡 𐌢 𐌣 𐌭 𐌮 𐌯
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
3.1 U+10300..1031E,10320..10323 35 L2/00-112 Michael Everson (21 March 2000), Request of change to the proposal to add Etruscan to Unicode / ISO 10646 (英語)
L2/00-246 Deborah Anderson (1 August 2000), Feedback on Old Italic (L2/00-140) (英語)
L2/00-247 Deborah Anderson (2 August 2000), Addendum to Old Italic feedback in L2/00-246 (英語)
L2/00-309 Michael Everson (10 September 2000), Revised glyphs for "Old Italic" (英語)
7.0 U+1031F 1 L2/12-386 Chris Little (7 November 2012), Revised Proposal to Encode Additional Old Italic Characters (replaces L2/11-146R) (英語)
10.0 U+1032D..1032F 3 L2/15-181 Michael Everson (28 July 2015), Proposal for the addition of three Old Italic characters (revised; WG2 N4669R) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ Roadmap to the SMP”. www.unicode.org. 2025年3月27日閲覧。
  2. ^ a b Michael Everson (2000年3月21日). “Request of change to the proposal to add Etruscan to Unicode / ISO 10646” (英語). Unicode. 2025年3月27日閲覧。
  3. ^ Chris Little (2012年11月7日). “Revised Proposal to Encode Additional Old Italic Characters (replaces L2/11-146R)” (英語). Unicode. 2025年3月27日閲覧。
  4. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U10300.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年3月27日閲覧

関連項目




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