厭勝銭・冥銭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:42 UTC 版)
災いを防ぎ祓うための呪力や霊力を与える貨幣として厭勝銭があり、祝事に使う慶祝銭もある。これらは花錢(中国語版)とも呼ばれる。副葬品として使う貨幣には冥銭があり、紙錢とも呼ばれる。殷時代の墓にはタカラガイが大量に副葬されており、死者の安寧や復活を願ったとされる。秦や漢においては死者は冥土でも生活すると考えられて、死者も貨幣が必要とされた。漢の時代には銭の副葬品が増え、瘞銭(えいせん)とも呼ばれた。明の時代には、金の冥銭が発見されている。四川を中心とする習慣では、銭が実った木をかたちどった揺銭樹という青銅器を墓に入れた。このほかに陶銭や紙銭も素材となった。葬儀社などでは、冥国銀行券といった名称の葬儀用紙幣が用意されている。1930年の中国では額面が5円となっているが、その後に高額化が進んだ。死者があの世での生活に困らないようにという意図から、一般には存在しない額面となっている。類似の習慣は日本、韓国、台湾、ベトナムなどにある。中華人民共和国の建国時には、冥銭や紙錢は迷信商品として取り締まりの対象にもなった。
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