原拠との相違点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 19:42 UTC 版)
原拠とされる『杜子春』では、杜子春は地獄に落ちた後、女に生まれ変わって誕生するが、やはり全く物を言わず、結婚して子を産んでも喜びの声一つ発しなかったため、怒った夫が赤ん坊を叩き殺し、そこで妻(杜子春)が悲鳴を上げたところで現実に戻り、仙人は声を出さなかったら仙薬ができ仙人になれたのに、と言って突き放す。これは、すべてのものに対する執着を捨ててこそ昇仙出来るという道教の思想に根差している。対して芥川は、親が地獄の責め苦を受ける場面に変えて、「あの時もし声を出さなかったら、お前を殺していた」と仙人に言わせ、他者への慈しみの心を尊ぶ大乗仏教に即した結末に変えている。 西岡晴彦は、日本の中国文学研究者は幼児期に芥川作品を読んだことの影響で、原拠小説に接したときに解釈にある種の歪みをもたらしてはいないか、と提起している。
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