原作及び「パルジファル」の表記について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 15:48 UTC 版)
「パルジファル」の記事における「原作及び「パルジファル」の表記について」の解説
『パルジファル』の台本は、ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの叙事詩『パルチヴァール』に基づいている。『パルチヴァール』は、歌劇『ローエングリン』の制作にも影響を及ぼしているかもしれない。『パルチヴァール』のエピローグには、白鳥の騎士ローエングリンの物語が紹介されているからである。『ローエングリン』第3幕で、ローエングリンは、モンサルヴァート城の王パルチヴァール(Parzival)の息子であると名乗っている。パルジファルが白鳥を射落として引き立てられてくることと、ローエングリンが「白鳥の騎士」であることの関連は明らかであろう。ほかにも、各幕の構成や、『パルジファル』のクンドリが『ローエングリン』のエルザとオルトルートを合わせたような存在であることなど、二つの作品は関連が深い。 パルチヴァールの名前の語源として、アラビア語の "Parsi oder Parseh Fal, d.i. der reine oder arme Dumme"(パルシないしパルセー ファル すなわち「清らかな」ないし「哀れな」「愚者」?)であるとする、ヨーゼフ・ゲレス(英語版)の説を取り入れて、ワーグナーは Parsifal に綴りを直したとされる。晩年、ワーグナーが親密に交際したジュディット・ゴーティエ(英語版)は、この説は誤りだと指摘したが、ワーグナーは「そうであっても構わない。」として訂正しなかったという。 ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの『パルチヴァール』(Parzival)はクレティアン・ド・トロワの『ペルスヴァル』(Perceval)に由来する。中世フランス文学・比較神話学の権威フィリップ・ヴァルテール(1952-)は、「ペルスヴァル(Perceval)の名は、《谷(ヴァル)》(val)の秘密を《つき止める(ペルス)》(perce)者と読むことができる(ペルスヴァルが訪ねた漁夫王の館が《谷(ヴァル)の中に》位置していたからである)」と解釈している。
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