南米紀行―ブラジル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 07:26 UTC 版)
(リオ―転身―幼年時代の再現)では、リオ・デ・ジャネイロに到着した感動や、リオの街の散策中に感じた既視感や悲哀、幼年時代を思い起こさせる郷愁、リオのカーニバルの練習をする人々や、街路の人々の様子、海水浴や動物園のことが綴られている。 (サン・パウロ)では、古い軒並の窓の中に見られる人々の眺めを観察し、「窓のなかは舞台に似てゐる」と考えながら散策している。サンパウロでの体験は、のちに小説『不満な女たち』(1953年)の創作に生かされる。 (リンス)では、元・東久邇宮子息で、学習院時代の友人・多羅間俊彦の営む牧場やコーヒー農園の雲の風景や、小邑ヴィラサビノの村の素朴な様子、多羅間家の庭で見た白蟻の巣や葉切蟻・蛍・蜂雀・駝鳥などの観察、馬に乗って廻った牧場と珈琲園や付近の慰霊碑(開拓時代に土地や女の争いから殺された人の名が彫られている)の風景を綴っている。高い「白蟻の巣」を見たことは、のちに戯曲『白蟻の巣』(1955年)創作のヒントとなる。 (再びリオ・デ・ジャネイロ)では、カーニバル前日の街の様子が綴られている。 (謝肉祭)では、カーニバルの喧騒や昂奮の様子が詳細に描写されている。三島自身もナイトクラブ「ハイライフ」やヨットクラブの舞踏会で踊り明かし、その店の人々の様子、カーニバルの終わった翌日のリオの街の様子が綴られている。
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