半環への一般化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/08/03 06:13 UTC 版)
準正則元の概念は直ちに半環 (semiring) へと一般化される。a が半環 S の元であれば、S から自身へのアフィン写像は である。S の元 a が右準正則 (right quasiregular) であるとは、 が一意とは限らない固定点をもつときにいう。各そのような固定点は a の左準逆元 (left quasi-inverse) と呼ばれる。b が a の左準逆元でさらに b = ab + 1 であれば、b は a の準逆元 (quasi-inverse) と呼ばれる。準逆元をもつ半環の任意の元を準正則 (quasiregular) と言う。半環のすべてではなく一部の元が準正則であるということはあり得る。例えば、通常の加法と乗法による非負の実数の半環において、 は固定点 をすべての a < 1 に対してもつが、a ≥ 1 に対しては固定点をもたない。半環のすべての元が準正則であれば半環は準正則半環 (quasi-regular semiring)、閉半環 (closed semiring)、あるいは時折レーマン半環 (Lehmann semiring)と呼ばれる(後者は Daniel J. Lehmann の論文 に敬意を払っている)。 準正則半環の例はクレイニ代数(英語版)(それらの中でも顕著に、正則表現の代数)によって提供される。そこでは準逆元は最小固定点解として定義される単項演算(a* で表記される)の役割に持ち上げられる。クレイニ代数は加法的に冪等であるがすべての準正則半環がそうであるわけではない。非負実数の例を無限大を含むように拡張でき、それは任意の元 a ≥ 1 の準逆元が無限大である準正則半環になる。この準正則半環はしかしながら加法的に冪等ではないので、クレイニ代数でない。しかしながらそれは complete semiring である。より一般に、すべての complete semiring は準正則である。用語 closed semiring は実は著者によってはただの準正則ではなく complete semiring を意味するために用いられる。 Conway 半環(英語版)はまた準正則である。2つの Conway の公理は実は独立である、つまり、the product-star [Conway] axiom, (ab)* = 1 + a(ba)*b のみを満たし the sum-star axiom, (a + b)* = (a*b)*a* を満たさない半環が存在し、and vice-versa。半環が準正則であることを意味しているのは the product-star [Conway] axiom である。その上、可換半環(英語版)が準正則であることと the product-star Conway axiom を満たすことは同値である。 準正則半環は最短経路問題の一般化である algebraic path problems において現れる。
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