十字架上のキリストを抱きしめる聖フランチェスコとは? わかりやすく解説

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十字架上のキリストを抱きしめる聖フランチェスコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/24 18:12 UTC 版)

 

『十字架上のキリストを抱きしめる聖フランチェスコ』
スペイン語: San Francisco abrazando a Cristo en la Cruz
英語: Saint Francis Embracing Christ on the Cross
作者 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
製作年 1668-1669年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 277 cm × 181 cm (109 in × 71 in)
所蔵 セビーリャ美術館セビーリャ

十字架上のキリストを抱きしめる聖フランチェスコ』(じゅうじかじょうのキリストをだきしめるせいフランチェスコ、西: San Francisco abrazando a Cristo en la Cruz, : Saint Francis Embracing Christ on the Cross)または『イエスに倣うため物質世界を放棄する聖フランチェスコの寓意』(イエスにならうためぶっしつせかいをほうきするせいフランチェスコのぐうい、: Allegory of Saint Francis' Renunciation of the Material World to Follow Jesus)は、スペインバロック絵画の巨匠バルトロメ・エステバン・ムリーリョが1668-1669年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。現在、セビーリャ美術館に所蔵されている[1]

作品

フランシスコ・リバルタ『十字架上のキリストを抱きしめる聖フランチェスコ』、1620年ごろ、バレンシア美術館

本作は元来、セビーリャカプチン・フランシスコ修道会から彼らの修道院のためにムリーリョに発注された、フランシスコ会を特徴づける精神的要素を主題とする一連の絵画に含まれていた。本作の主題は、ほかの画家たち、とりわけフランシスコ・リバルタバレンシアのカプチン会修道士たちのために描いた作品にも取り上げられた。彼らの修道院はセビーリャの修道院の設立に貢献したので、本作の主題をムリーリョに提案したのかもしれない。

主題である聖フランチェスコは1181年にイタリアアッシジで生まれた[2]。父親は裕福な毛織物商であったといわれているが、財産の相続を放棄し、世俗を離れ、修道士として奉仕・布教活動に入った。彼の思想に共鳴した同志たちと合流し、フランシスコ会を創設した後、ローマ教皇ホノリウス3世に承認される。1224年にはヴェルナ英語版の山で聖痕を受ける奇跡を経験し、身体にイエス・キリストと同じ傷を持った[2]。フランシスコ会の修道服である暗褐色の粗衣と腰紐が聖フランチェスコのアトリビュート (人物を特定する事物) である[2]

作品の構図は、聖フランチェスコが宗教生活に入るために世俗的な物質世界を完全に放棄した決定的瞬間を象徴的に描いている。彼は右足で球体を押しのけているが、この球体は世俗的世界を象徴する。優しさに満ち、美しい顔をしたイエスは、十字架に釘付けにされた自身の右腕を外し、聖フランチェスコを抱くためにその背中に手を置いている。聖フランチェスコもまたイエスを抱きしめている。強い光がイエスと聖フランチェスコを照らしている。十字架の横には2人の智天使がおり、彼らはウルガタ聖書中にある「ルカによる福音書」 (14章33) の言葉が記されている書物を持っている[1]。その言葉は、「だから、同じように、自分の持ち物を一切捨てないならば、あなたがたのだれ一人としてわたしの弟子ではありえない」というものである[1][3]

画面下部を占める背景は、スケッチ的な技法で表された粗末な建物のある風景から成り立っている。風景中には様々な明るさの光が見られ、ムリーリョは異なる建物に微妙な変化をつけることで遠近感を表現している。堅固な仕上げを施されている本作では、表現力豊かな顔、優雅な人体プロポーション、研究された風景、光と色彩が強調されている[1]

脚注

  1. ^ a b c d St. Francis embracing Christ”. セビーリャ美術館公式サイト (英語). 2025年9月4日閲覧。
  2. ^ a b c 岡田 2011, p. 153.
  3. ^ ルカによる福音書 14:33”. YouVersionサイト (日本語). 2025年9月4日閲覧。

参考文献

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