羊飼いの礼拝 (ムリーリョ、ウォレス・コレクション)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/12 00:58 UTC 版)
スペイン語: Adoración de los pastores 英語: Adoration of the Shepherds |
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作者 | バルトロメ・エステバン・ムリーリョ |
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製作年 | 1668年ごろ |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 187 cm × 228 cm (74 in × 90 in) |
所蔵 | ウォレス・コレクション、ロンドン |
『羊飼いの礼拝』(ひつじかいのれいはい、西: Adoración de los pastores, 英: Adoration of the Shepherds)は、スペインのバロック絵画の巨匠バルトロメ・エステバン・ムリーリョが1668年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。ジェノヴァの商人ジョヴァンニ・ベイラート (Giovanni Beilato) によりジェノヴァのカプチン会修道院に寄贈された7点の作品のうちの1点で[1][2]、1846年にハートフォード侯爵リチャード・シーモア=コンウェイに購入された。現在、彼のコレクションをもとにしているロンドンのウォレス・コレクションに所蔵されている[1][2]。なお、マドリードのプラド美術館には、ムリーリョが画業初期の1650年ごろに描いた別の『羊飼いの礼拝』が所蔵されている[3]。
作品

『新約聖書』中の「ルカによる福音書」 (2章8-21) によれば、イエス・キリストが生まれた直後、ベツレヘムの地方で羊飼いたちが夜間に野宿をしながら羊の番をしていたところ、主の御使いである天使が現れ、彼らにイエスの誕生を伝えた[4]。光と天使の導きによりイエスのもとにやってきた[5]羊飼いたちはやがて、言われたとおり「幼子が布にくるまって飼葉桶の中に寝かしてあるのを」見たという[4]。
聖母マリアが、神の子を見るためにやってきた羊飼いたちに新生児イエスを提示している。羊飼いたちは、子供の誕生後に浄めのために捧げられる伝統的な供物であるハトに加え、縛られた子羊を持ってきている[1]。この子羊は後のキリストの贖いを象徴しており、幼子イエスは画面上部に見える天国の十字架の幻影をすでに見ている。飼葉桶、前景の羊飼いの麦わら帽子や汚い足などのリアルな細部描写により、画面には臨場感や親近感が生み出され、作品のメッセージがより説得力のあるものとなっている[1]。
脚注
- ^ a b c d “Adoration of the Shepherds”. ウォレス・コレクション公式サイト (英語). 2025年9月4日閲覧。
- ^ a b “Adoration of the Shepherds”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2025年9月4日閲覧。
- ^ “Adoración de los pastores”. プラド美術館公式サイト (スペイン語の英訳). 2025年9月3日閲覧。
- ^ a b 辻邦生・高階秀爾・木村三郎、1984年、89頁。
- ^ 大島力 2013年、110-111頁。
参考文献
- 辻邦生・高階秀爾・木村三郎『カンヴァス世界の大画家 14 プッサン』、中央公論社、1984年刊行 ISBN 4-12-401904-1
- 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2
外部リンク
- ウォレス・コレクション公式サイト、ムリーリョ『羊飼いの礼拝』
- Web Gallery of Artサイト、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ『羊飼いの礼拝』
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