羊飼いの礼拝 (ムリーリョ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/12 00:56 UTC 版)
スペイン語: Adoración de los pastores 英語: Adoration of the Shepherds |
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作者 | バルトロメ・エステバン・ムリーリョ |
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製作年 | 1650年ごろ |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 187 cm × 228 cm (74 in × 90 in) |
所蔵 | プラド美術館、マドリード |
『羊飼いの礼拝』(ひつじかいのれいはい、西: Adoración de los pastores, 英: Adoration of the Shepherds)は、スペインのバロック絵画の巨匠バルトロメ・エステバン・ムリーリョが1650年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。1764年にカルロス3世により購入されてスペイン王室のコレクションに入り[1]、現在、マドリードのプラド美術館に所蔵されている[1][2]。なお、ムリーリョは、後年の1668年ごろに別の『羊飼いの礼拝』(ウォレス・コレクション、ロンドン) も制作した[3]。
主題
『新約聖書』中の「ルカによる福音書」 (2章8-21) によれば、イエス・キリストが生まれた直後、ベツレヘムの地方で羊飼いたちが夜間に野宿をしながら羊の番をしていたところ、主の御使いである天使が現れ、彼らにイエス・キリストの誕生を伝えた[4]。光と天使の導きによりイエスのもとにやってきた[5]羊飼いたちはやがて、言われたとおり「幼子が布にくるまって飼葉桶の中に寝かしてあるのを」見たという[4]。
作品

ムリーリョは17世紀の多くのスペインの画家同様、ホセ・デ・リベーラの影響を受けた[1]。リベーラはイタリアのナポリで制作したが、彼の作品はスペインの美術コレクションに豊富にあったからである。本作はリベーラの影響が最も顕著なムリーリョの作品の1つで、その影響は全体の構図、本質的にキアロスクーロによる照明、そして庶民的な人物像に現れている[1]。しかしながら、本作は、まさにムリーリョ的な特質にも事欠かず、人物造形の一般的な柔らかさ、そして彼のほかの作品にも登場する人物像などが見て取れる。幼子イエスの世話をする聖母マリアや、イエスに卵を差し出す老女などがそれにあたる[1]。
やや高い視点により、鑑賞者は、この場面にちょうどやってきたような印象を持つ。そうした親近感、直接的な感覚は対抗宗教改革時代のバロック絵画の目標とするものであった[2]。
脚注
- ^ a b c d e “Adoración de los pastores”. プラド美術館公式サイト (スペイン語の英訳). 2025年9月3日閲覧。
- ^ a b “Adoration of the Shepherds”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2025年9月3日閲覧。
- ^ “Adoration of the Shepherds”. ウォレス・コレクション公式サイト (英語). 2025年9月4日閲覧。
- ^ a b 辻邦生・高階秀爾・木村三郎、1984年、89頁。
- ^ 大島力 2013年、110-111頁。
参考文献
- 辻邦生・高階秀爾・木村三郎『カンヴァス世界の大画家 14 プッサン』、中央公論社、1984年刊行 ISBN 4-12-401904-1
- 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2
外部リンク
- プラド美術館公式サイト、ムリーリョ『羊飼いの礼拝』
- Web Gallery of Artサイト、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ『羊飼いの礼拝』
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