労働基本権制約の代償措置性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:49 UTC 版)
「人事院勧告」の記事における「労働基本権制約の代償措置性」の解説
日本の国家公務員は争議行為が全面一律に禁止され、加えて非現業職員は団体協約締結権が認められていないなど、労働基本権が大きく制限されている。したがって、勤務条件を私企業のように労使交渉を通して決定することができず、人事行政の改善、特に勤務条件を社会一般の情勢に適応させる機能は人事院勧告が担っている。 公務員の労働基本権制約・剥奪は1948年7月31日の「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合國最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令」(昭和23年政令第201号)に端を発している。この政令に基づく国公法一次改正の際、同時に人事院勧告制度が導入された。 このような状況と経緯から、人事院や最高裁の判例(全農林警職法事件など)は、人事院勧告を労働基本権制約の主な代償措置と位置づける見解を採用している、これは「人勧代償措置論」とも呼ばれ、公務員の労働基本権制約の正当化や、給与勧告の完全実施要求の根拠として援用されることもある。 一方で人事院勧告の代償措置性を否定する議論もある。地方自治問題研究機構の行方久生は、歴史的にみて人事院・人事院勧告は労働基本権制約の代償として導入された制度ではなく、原理的にも労働基本権を離れた人事行政一般の範疇に収まるものであり、両者に代償関係は認められないとしている(行方2004)。
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