切手と消印 存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 22:58 UTC 版)
「太田三郎 (芸術家)」の記事における「切手と消印 存在」の解説
切手と消印を用いた最初の作品は、100枚綴りの通常郵便切手の周辺部分を残してバラバラにした切手を自分宛の葉書に貼って投函し、後日届いた切手を葉書から剥がして再びもとのシートに配列した作品『Print Work』である。切手と消印は「版画的なもの」であり、かつ消印の「時間」と「場所」の要素が自分自身の存在を作品の中で確認できる素材となっている。さらに『Print Work』では明確に意識されていなかった押印された消印の日付が、切手1シート(100枚)の中で一日ずつ変わっていく作品『Date Stamps』へと展開する。『Date Stamps』の素材は切手と郵便局で押印してもらった消印のみで、100日分がもとのシートの状態にもどしてある。太田が版画的なものとみなした切手と消印には、そこに作家の熟練した手技の痕跡は認められない。コンセプチュアルな作品でありながら、元来伝達の手段である切手と消印や郵便制度と一体化しつつも、意味の伝達の道具にとどまらない点がユニークである。なお1985年7月5日から開始された『Date Stamps』は、開始から10,000日(シート100枚)を数える2020年8月17日をもって完了した。 太田が郵便局に直接赴いて消印を押してもらうほかの作品として、個人的な時間と場所が記録された日記帳に1年間かけて訪ねた郵便局の消印が押された『Diary』(1986-1987)、そして曜日ごとに7枚のシートをばらし、あたかも昆虫採集のように曜日を集めた『Every Seven Days』(1987)などがある。また『Camellia Circle』(1985-2000)は、椿の絵柄の30円切手2枚を実際の椿の葉に貼って押印してもらった約4,500枚の椿の葉によるインスタレーション作品である。
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