共役受容体と選択性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 14:14 UTC 版)
HIV-1の侵入に関与する2つの共役受容体であるCCR5とCXCR4は、7回膜貫通型(7TM)Gタンパク質共役受容体という大きなファミリーに属している。HIV-1はどちらの受容体に対する特異性を有するかによって分類できる。R5ウイルス(M-指向性HIV-1)はマクロファージを標的とし、CCR5を使用する。X4ウイルス(T-指向性HIV-1)はT細胞を標的とし、CXCR4を使用する。両方の受容体を利用する二重指向性HIV-1も存在する。受容体の選択性は特に、gp120内の非常に変化に富み構造的に柔軟な領域であるV3ループに依存している。ここは約35個のアミノ酸からなり、11位と25位に塩基性アミノ酸が存在すればX4ウイルスと判定できる(11/25 method)。 しかし、利用する受容体は感染の進行によって変化する事がある。感染の初期段階では90%の患者がR5ウイルスを持つが、感染から5年が経過すると全患者の約50%が検出可能な量のX4ウイルスを持つようになる。この原因は今のところ不明であるが、ウイルスがCXCR4受容体を使用するようになると、CD4+T細胞の減少速度や病状の進行が速まり、AIDSの発症率や死亡率が高まると判明している。
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