全方位戦略
「全方位戦略」は、経営戦略・マーケティング戦略において「市場のあらゆる需要に対応し、包括的なシェア獲得を目指す」方針を指す意味で用いられる表現である。市場を牽引するトップ企業が取るべき戦略と位置づけられる。
マーケティングにおける全方位戦略
マーケティングにおける全方位戦略は、簡単にいえば「市場にある全てのセグメントの商品を網羅的に取り揃える」戦略である。つまり、「欲しい商品がこの会社にはない(けど他社にはある)」という状況が発生しない。圧倒的な囲い込みが実現できる。このような全方位戦略は、他社を圧倒するほどの経営資源やブランド力をもつリーダー企業でなければ実現は難しい。
全方位戦略を実践している企業やブランドの例としては、トヨタ自動車が挙げられる。トヨタは参加企業も含めれば軽自動車から商用車まであらゆるセグメントの自動車を網羅している。たとえば「CセグメントのSUV」も「2ドアクーペ」も「7人乗りミニバン」も用意している。さらにICE・HEV・PEHV・BEV・FCEVなどのあらゆる駆動方式の車両を手掛けている。仮にICE(内燃機関)が廃絶しても、BEVが廃絶しても、トヨタは生き残る用意があるわけである。
外交・防衛・国際関係における全方位戦略
外交や国際関係にかかる文脈では、「全方位戦略」は「全方位外交戦略」または「全方位防衛戦略」の意味で用いられることが多い。「全方位外交戦略」は、特定の国との関係に偏重せず、さまざまな(というか全ての)国と均等に外交関係を構築するような外交戦略のことである。
「全方位防衛戦略」は、特定の国を脅威(仮想敵国)として絞り込まず、全世界のどの国から攻撃されても対応可能な防衛体制を敷くという国家防衛戦略のことである。特にド・ゴール政権下のフランスが用いた核戦略を指す場合が多い。
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