入湯行為の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 09:21 UTC 版)
入湯税は、入湯という行為に対して課税する「行為税」であるという解釈があり、施設の種別や宿泊の有無にかかわらず、入湯者の入湯行為はすべて課税されるのが本則である。しかし入湯税の課税根拠は、入湯行為に付随する、飲食・宿泊・遊興といった「奢侈的支出」にある。そのため、「奢侈的支出」に当たらない共同浴場・一般公衆浴場の利用や療養目的の湯治に対する減免措置が設けられる(後述)。また支出を伴わない無料の入浴施設の利用者は入湯税の徴収対象に含まれないが、「行為税」と見なすのであれば、本来は入湯税を徴収しなければならない、と考えることもできる。 「入湯行為」を文字通り解釈すれば、浴槽に入る行為のことであるが、「浴場に入っても浴槽に入らない人」や「鉱泉水の入っていない浴槽にのみ入る人」が存在するため、実際に個々人が入湯行為をしたかどうかを把握することは困難である。そこで富山県砺波市は、実際には入湯しなかったとしても、鉱泉浴場を持つ宿泊施設を利用した場合、入湯行為がないことを立証しない限りは入湯税を支払わなければならないとしている。一方、「入湯していない日の分も入湯税を請求された」という相談に対し、弁護士の奥村徹は「入湯していない日については負担しないと思います」と弁護士ドットコムで見解を述べている。 この件に関連して、施設の入場者全員を入湯者と見なし、全員分の入湯税を納税することを求めた行政に対し、温浴施設を含む複合娯楽施設の経営者が異議を申し立てた裁判では、施設側が正確な入湯者数を把握していない場合、証拠に基づいて入湯者数の近似値について合理的な推計をすべきと大阪高等裁判所が判決を出した。この判例では、「鉱泉水の入っていない浴槽にのみ入る人」は入湯行為に該当しないと結論付けている。
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