元地回収
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/08 05:16 UTC 版)
輸送距離が近い場合、あるいは高速コンテナ船による輸送の場合など、貨物の輸送時間が短い場合には荷受人=輸入者が船荷証券(B/L)を受け取るよりも先に貨物が荷揚げ港に到着してしまうことがある。この場合、B/Lがなければ貨物を受け取れないため、輸入者としては銀行に担保を差し入れ、保証状(L/G)を入手して、船会社に提出して貨物を受け取り、B/Lが入手できた後に、船会社に渡して、保証書を返してもらうという手続きを必要とする。この手間を避けるため、荷受人を指定し(ConsigneeをTO ORDERとせずに具体的な受取人を記載する)、船荷証券を船積みの時点で船会社か、その代理店が回収した(surrendered)ことにし、荷主=輸出者には3通発行される銀行買取可能なオリジナル(原本)のいずれかの複写若しくは銀行買取不能(Non-negotiable)のコピーに『原本元地回収済み』(THE ORIGINALS [HAS BEEN] SURRENDERED)とスタンプされたものだけを渡して、B/L番号などの情報がわかるようにする方法を採る場合がある(元地回収・Surrendered B/L)。 信用状決済には用いることができないため、関係会社など、決済上のリスクが無い場合に用いられるのが普通である。なお、運送人の立場からは、元地回収に関する条約や法令がなく責任関係が曖昧であること、また裏面約款の効力が否定される可能性が存在することから、運送人にとってのリスクが高い点が指摘されている。
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