停滞から再活性化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 13:08 UTC 版)
しかし中村の研究以後はその他の分野と同様実証的な研究に重点が置かれ、貴族制全体をどう理解するかの目立った研究成果はなくなる。 長い停滞の時代が続いたが21世紀になってから新展開を迎えた。その中心となるのが渡邉義浩・川合安である。 渡邉は貴族が貴族たる所以を「皇帝権からの自律性」であるとし、その自律性を支えるものは「文化の占有」であるとする。そして「文化の占有」を行う貴族の淵源を後漢代の「名声を基にし、必ずしも地域社会との関係性を持たない『名士』」に求める。 川合は通説で言われているような家格が整然と厳格に定まったものではなくある程度流動的なものであり、宮崎の「門地二品」・越智の「族門制」論などに表れるような整然とした階層構造は当時には存在していなかったとする。 渡邉は貴族を貴族たらしめているものを皇帝権や共同体ではなく、貴族の内部に求めるべきではないかと述べている。その言葉どおり、かつての時代区分論争を前提としていた論争から一歩離れて別の視覚を見出していくのがこれからの課題といえるだろう。
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