保護拘禁収容所指導部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:13 UTC 版)
「強制収容所 (ナチス)」の記事における「保護拘禁収容所指導部」の解説
保護拘禁収容所指導部も司令部に属する。「保護拘禁収容所(Schutzhaftlager)」とは囚人が収容される区域を指す。その長である保護拘禁収容所指導者(Schutzhaftlagerführer)は収容所所長の指揮の下に囚人を直接に管理した。保護拘禁収容所指導者は3名まで増やすことができ、一日交代で勤務にあたった。親衛隊大尉から親衛隊少尉ぐらいの階級の者が務めた。 保護拘禁収容所指導者の下には連絡指導者(Rapportführer)がいた。囚人の状態などを保護拘禁収容所指導者に報告し、また保護拘禁収容所指導者の命令が保護拘禁収容所において遂行されているか監督するのが役割だった。連絡指導者は抑留者の状態を正確に把握している必要があったため、ゲシュタポの出先機関である「政治局」とは別に抑留者内にスパイを放っていた。連絡指導者はたいてい2名おり、交代で務めた。連絡指導者には親衛隊曹長階級の者が就任するのが通常だった。 連絡指導者の下にはブロック指導者(Blockführer)がいる。彼らがそれぞれのブロックの囚人を直接管理した。ブロック指導者は一人につき、大体2個か3個のブロックを担当した。親衛隊軍曹、親衛隊伍長、親衛隊兵長ぐらいの階級の者が多かった。囚人に最も身近に接する役職であり、囚人たちの命にほとんど無制限の権利を有したため、数々の残虐行為を起こした。ブロック指導者は戦前は親衛隊髑髏部隊(SS-TV)から選ばれていたが、戦中には収容所職員が就任した。 囚人の労働を監督したのが、労働指導者(Arbeitsdienstführer)だった。戦時中、強制収容所の奴隷労働力が重視されるにしたがってその権限は大きくなり、1942年には労務指導者の上位職として労働配置指導者(Arbeitseinsatzführer)が置かれた。どの囚人に何の労働をさせるかは彼らによって決定された。囚人を危険な労働に配置転換させる権限を有したため、彼らも囚人の生死にかなり関与することが多かった。 その下で囚人の労働を直接に取り扱ったのが、作業班指導者(Kommandoführer)である。彼らもブロック指導者と並んで直接に囚人と関与し、その生命に無制限の権利を有していた。しかし作業班が増えてくると作業班の指揮は囚人職のカポにゆだねられることが多くなった。
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