体色と擬態について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 20:16 UTC 版)
「トリノフンダマシ属」の記事における「体色と擬態について」の解説
体色は種によって異なり、また個体変異もあるが、いずれも珍奇な外見を示し、擬態に関わるものと考えられてきた。 日本産の4種のうち、トリノフンダマシとオオトリノフンダマシはいずれもハート形に近い腹部は白から黄色の地色で、両肩(腹部前方の左右に張り出した部分)に白と褐色系による曖昧な渦巻きのような模様がある。シロオビトリノフンダマシでは横長の腹部の真ん中を横切るように白い帯があり、その前後は黒く、腹部後端近くは淡い褐色になっている。これらの種では表面がなめらかでつやつやしい事が、まるで濡れているような見かけを与えることもあって、その姿を新鮮な鳥の糞のように見せる。「鳥の糞騙し」の名はこれに基づく。実際に野外で静止している際には、歩脚をしっかりと頭胸部に引き寄せ、ほとんど腹部しか見えないため、知っていなければ蜘蛛とは思えない。 これに対して、アカイロトリノフンダマシでは、地色が鮮やかな赤で、そこに白い斑紋が水玉模様のように入る。その表面はやはり強いつやがあり、これはテントウムシ類に擬態しているとされる。 特に前者の擬態については、このクモの造網習性が知られる以前には攻撃のための擬態ではないかと考えられていた。鳥の糞から水分や栄養を摂取する昆虫は少なくないので、そのようなものが鳥の糞と間違えて接近してきたところを捕らえる、との判断である。しかしこれは否定されたため、擬態であるにせよ、隠蔽のためのそれと考えられている。 なお、トリノフンダマシとオオトリノフンダマシではその斑紋からカマキリの頭に擬態しているとの説をネット上などで見かけるが、これはクモ学の分野では特に取り上げられていない。
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