仮名遣いと発音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 08:47 UTC 版)
明治政府が仮名遣いを統一する以前は、同じ音韻に対して複数の仮名を用いることが一般的であった。例えば「折る」を「おる」とも「をる」とも書くが、それだけでなく、同じ「を」であっても複数の字体があり、「乎」を字母とする仮名も「遠」を字母とする仮名も使われた。本項目では前者の問題を扱い、後者のような「変体仮名」「異体仮名」の問題は扱わない。例えば「し」字体は語頭以外に、「志」字体は語頭に使うという使い分けのなされた時期がかつて存在した。このような字体の使い分けを、「仮名遣い」と区別して「仮名文字遣い」と呼ぶことがある。 仮名遣いが統一されるということは、同じ語はいつも同じ綴りで書くということである。これは「発音通り書く」ということではない。同じ音韻でも語によって仮名を使い分けることが「仮名遣い」なのであって、発音通り書くことは「仮名遣い」ではない。 なお仮名遣いに関する議論で、特に「表音式仮名遣い」に反対する立場の中には、発音は一人一人違うのであるから表音式仮名遣いは不可能であると論じられることがある(例えば時枝誠記)。しかしこの場合の「発音」とは音声のことである。仮名遣いで問題になるのは音声ではなく音韻の方であり、同じ音韻に対して一つの仮名に統一するか、複数の仮名を使い分けるかということである。
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