人に憑く豆狸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 22:19 UTC 版)
豆狸は人に憑くものとの説もあるが、憑く相手は豆狸に悪さをした人間のみという。あるときに酒造で働いていた男が豆狸に唾を吐きかけたために豆狸に憑かれ、行方が分からなくなった。4日目に蔵の奥で茫然自失としている男が発見されたが、皮膚の下を瘤のようなものが走り回っていた。憑いた豆狸はなかなか落ちなかったが、豆狸を祀る約束をしたことでようやく落ち、森助大明神という祠が建てられて人々に崇められたという。 大阪地方では特に人に憑いた話が多く、心霊学者・岡田建文の著書『動物界霊異誌』でも以下のような事例を述べている。明治40年(1907年)、大阪の東区(現・中央区)谷町のある人物に豆狸が憑き、依頼を受けた霊能者がその者の家に赴いたところ、その患者の背後には2,3匹の豆狸が見えたが、霊能者以外の目には見えなかった。霊能者が術を施したところ、患者の左腕に瘤ができ、それが腕伝いに指先へと移動し、灰色の水飴状の物が指から床に滴り落ちた。その物体は小さな饅頭ほどの大きさになって高速で旋回したが、やがて動きを止めた。ところがその家の戸口を偶然にも巡回中の巡査が通りかかり、先の物体は素早く家から飛び出して巡査の胸に取り憑いた。すると巡査は狂乱状態となって、サーベルを振り回しながら走り去った。先に憑かれていた患者は全快したものの、巡査がその後どうなったかは不明という。
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