交響曲第4番 (ブラームス)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/24 20:26 UTC 版)
交響曲第4番ホ短調作品98(こうきょうきょくだい4ばんホたんちょうさくひん98、ドイツ語: Sinfonie Nr. 4 in e-Moll op. 98)は、第3交響曲完成の翌年1884年から1885年にかけてヨハネス・ブラームスが作曲した最後の交響曲。第2楽章でフリギア旋法を用い、終楽章にはバロック時代の変奏曲形式であるシャコンヌ[1]を用いるなど、擬古的な手法を多用している。このことから、発表当初から晦渋さや技法が複雑すぎることなどが批判的に指摘されたが、現在では、古い様式に独創性とロマン性を盛り込んだ、円熟した作品としての評価がなされており、4曲の交響曲の中でも、ブラームスらしさという点では筆頭に挙げられる曲である。同主長調で明るく終わる第1番とは対照的に、短調で始まり短調で終わる構成となっているが、これは弦楽四重奏曲第1番、第2番やシェーンベルクが管弦楽に編曲しているピアノ四重奏曲第1番など、ブラームスの室内楽曲では以前から見られる構成である。ブラームス自身は「自作で一番好きな曲」「最高傑作」と述べている。演奏時間約40分。
- ^ 第4楽章の「シャコンヌ」は、パッサカリアともいうが、両者の使い分けは人によって異なり、明確に使い分けることは困難である。ブラームスがシャコンヌという呼び方を好んでいたという説を採って、この項ではシャコンヌを用いる。一説には、低音が変化しないが和音が変化するものをパッサカリア、和音も変化しないのがシャコンヌであるという。それに従えば、この終曲はパッサカリアである。
- ^ 自筆譜第1楽章最終ページの終止線の後に4小節加筆したあと斜線で消去している。
- ^ “JOHANNES BRAHMS Symphony No.4 in E Minor, Op.98. Facsimile Edition of the Autograph Score in the Possession of the Allgemeine Musikgesellschaft Zürich Introduction by Günther Birkner”. OMI - Old Manuscripts & Incunabula. 2017年12月11日閲覧。
- ^ この削除された冒頭4小節を含めた版は、トーマス・ヘンゲルブロック指揮、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団によって2016年5月22日に演奏された。
- ^ “Brahms-Marathon: Sinfonie Nr. 4”. NDR. 2017年12月11日閲覧。
- ^ 飯村諭吉「昭和初期におけるヨハネス・ブラームスの交響曲の紹介方法 : 新交響楽団の機関紙における曲目解説に着目して」『音楽表現学』第19巻、日本音楽表現学会、2021年11月、2頁、doi:10.34353/jmes.19.0_1、ISSN 1348-9038、CRID 1390857226420504064、2023年6月19日閲覧。
- 1 交響曲第4番 (ブラームス)とは
- 2 交響曲第4番 (ブラームス)の概要
- 3 作曲の経緯
- 4 初演とその評価
- 5 楽器編成
- 6 引用
- 交響曲第4番_(ブラームス)のページへのリンク