二重課税の議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:24 UTC 版)
高橋洋一は「株主の個人資産に課税しながら法人の内部留保に課税することは、理屈の上から明らかに二重課税である。これは経済活動を阻害する可能性がある」と指摘している。 岩田規久男は「法人所得に課せられる法人税は、株主の所得に対する課税である。また配当所得税は、法人所得税後の所得から株主の配当所得に対する課税であるため二重課税となっている」と指摘している。 経済学者の上村敏之は「株主は、法人税が課税された後に配当を受け取り配当所得税が課税されるなら二重課税となる。そのため、配当については法人税・所得税で二重課税の調整が必要となる」と指摘している。ただし、上村は「株式市場が正常に機能していれば、内部留保が株価上昇・株主の利益につながらず、法人税は株主負担にはならない」と指摘している。 大田弘子は「社債・借入で資金調達すれば、金利が損金算入されて非課税となるため株主に比べて債権者が有利となる。二重課税を完全に調整するには、インピュテーション方式という複雑な措置が必要となる」と指摘している。 高橋洋一は「法人税は、所得税・資産税の補足が完璧であれば、二重課税に該当するため原理的には必要ない。日本の法人税率が高いのは、個人の資産・所得の把握が不十分(クロヨン)な結果といえる。納税者番号制度が導入できれば、所得税など増収になる可能性がある。その増収分を法人税引き下げに回すことは、税理論からいえば合理的である」と指摘している。高橋は「各国で法人税を引き下げているのは、IT・法の整備によって個人の資産・所得の精度の高い補足が可能になってきたからである。そうした事情を考慮せず日本も引き下げろというのは間違いである」と指摘している。
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