事故の原因となった単位の混乱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 09:00 UTC 版)
「メートル法化」の記事における「事故の原因となった単位の混乱」の解説
メートル法化の実施中の単位の混乱は、事故につながることもある。最も著しい例の1つは、カナダにおけるメートル法化の期間にあった。1983年、エア・カナダのボーイング767-200(事故後にギムリー・グライダーと呼ばれることになる)は、飛行中に燃料を使い果たした。この事故の主な原因は、給油前の燃料残量 7,682リットルを質量に換算する際に、リットルとキログラムによる比重 0.803 (kg/L) ではなく、誤って扱い慣れたリットルとポンドによる比重 1.77 (lb/L) を使用したためである。本来なら22,300 kgの燃料が必要なところを、10,116 kgしか搭載していなかったために事故が発生した。 第一次世界大戦後のベルギー・イーペルの復興の際、イギリス陸軍のエンジニアは爆撃された家を再建するための計画をフィート単位で作成した。しかし、ベルギーの建築士はそれをメートル単位と解釈した。その結果、再建された家は巨大なドアと窓を持つこととなった。 1998年のマーズ・クライメイト・オービターの損失は、2つの単位系の使用が原因であった。アメリカ航空宇宙局(NASA)は契約においてメートル法の単位を指定した。NASAと他の組織はメートル法で作業を行ったが、1つの下請業者ロッキード・マーティンは、作業チームにスラスターの動作データをニュートン秒ではなくポンド重秒で与えていた。宇宙船は、高度約150キロメートルで火星を周回することを意図していたが、間違ったデータにより、約57キロメートルまで下降するようになっていた。その結果、火星の大気の温度と気圧により破壊された。
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