事後的併合罪の量刑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/15 14:29 UTC 版)
前記の事例では、B罪とA罪は事後的併合罪の関係にあるが、B罪は確定判決であり一事不再理効が働き、併合罪処理のために変更する事はできない。この場合、改めてB罪とA罪を併合罪としてA罪のみを処断する必要があるが、そのA罪の量刑について問題となる。 刑法では明文の規定は無いが、通説、判例では事後的併合罪の処理につき「併合罪につき数個の裁判があったときは、その執行に当たっては、併合罪の趣旨に照らし、刑法51条ただし書のほか、同法14条の制限に従うべきものと解するのが相当」とする(平成6年9月16日東京高裁判決)。よって原則として、B罪の刑とA罪の刑が同時的併合罪とみなした場合に科されるべき刑と、B罪による確定刑とA罪の刑を併科した場合の刑が同程度になるように、A罪の刑を調整することとなる。 さらに、仮にそのような調整を越えるようなA罪の刑が確定した場合であっても、刑の執行の時点で(同時的併合罪の併科の制限(刑法46条)を準用する形となる)刑の執行の併科の制限(刑法51条)により必要的制限を受ける。 なお、新しい確定判決により、死刑を執行すべきときは執行中の他の刑(没収を除く)の執行が停止され、無期の懲役又は禁錮を執行すべきときは執行中の他の刑(罰金、科料及び没収を除く)の執行が停止される。ただし、すでに執行済みの刑の部分、または執行を終わった刑に影響はなく、51条1項に基づき遡及して刑の撤回はされない(新たな判決において量刑上または執行上考慮される可能性はある)。一方で、いずれの確定判決も有期の懲役又は禁錮を含む場合は、51条2項により全体として有期刑の執行の併科の制限を受ける事となる。この場合も、すでに執行済みの刑の部分、または執行を終わった刑につき遡及して刑の撤回はされない。
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