乾眠の過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 08:04 UTC 版)
緩歩動物は周囲が乾燥してくると体を縮める。これを「樽(tun)」と呼び、代謝をほぼ止めて乾眠の状態に入る。乾眠個体は、後述する過酷な条件にさらされた後も、水を与えれば再び動き回ることができる。ただしこれは乾眠できる種が乾眠している時に限ることであって、全てのクマムシ類が常にこうした能力を持つわけではない。さらに動き回ることができるというだけであって、その後通常の生活に戻れるかどうかは考慮されていないことに注意が必要である。 乾眠状態には瞬間的になれるわけではなく、ゆっくりと乾燥させなければあっけなく死んでしまう。乾眠状態になるために必要な時間はクマムシの種類によって異なる。乾燥状態になると、体内のグルコースをトレハロースに作り変えて極限状態に備える。水分がトレハロースに置き換わっていくと、体液のマクロな粘度は大きくなるがミクロな流動性は失われず、生物の体組織を構成する炭水化合物が構造を破壊されること無く組織の縮退を行い、細胞内の結合水だけを残して水和水や遊離水が全て取り除かれると酸素の代謝も止まり、完全な休眠状態になる。ただし、クマムシではトレハロースの蓄積があまり見られないため、この物質の乾眠への寄与はあまり大きくないと考えられている。
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