主権の発生と承認の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 13:57 UTC 版)
「国家の承認」の記事における「主権の発生と承認の関係」の解説
どの段階で国家が国際法上、主権を持つ主体になっているのか、ということに関しては2つの説がある。「確認(宣言)的効果説」と「創設的効果説」である。互いに対立する内容の説である。 宣言的効果説(確認的効果説)(Declarative theory of statehood)宣言的効果説(確認的効果説)は、「国家は、事実上、国家としての要件を満たした段階で、国際法上の主体として存在する」ことを前提とした上で、他国家による当該国家の承認は、そのことを確認する行為であると位置づける。「新たに誕生した国家が国際法上の国家として認められるかどうかは承認する側が決めることではなく、新国家が国家としての要件を満たしているかどうかで客観的に決められるべきものである」というものであり、他国家が承認をしない(あるいは承認しない国家がある)ということをもって国際法上の主体であることを否定することにはならない、とするものである。つまり、ある国が3要件を満たしていたら、それで既に主権は発生しており、承認の有無に関係なく、承認する以前から主権は発生している、とするものである。 創設的効果説(Constitutive theory of statehood)創設的効果説は、「国家は、他国家から承認を受けることにより、初めて国際法上の主体として存在することになる」という考え方である。この場合は、他のどこの国からも承認を受けていない新国家は国家ではないとされるが、現実には「一つでも承認している国があれば国際的に国家とみなされる」というほど単純ではなく、明確な区別ができるような基準でもない。 従来は、どちらかというと創設的効果説のほうが有力ではあったが、第二次世界大戦後に相次いで独立を達成した新興諸国は、宣言的効果説のほうを支持する傾向が強く、既に国際社会に新規参入した国の数のほうが既存の国の数をはるかに上回っており、現在では既に宣言的効果説のほうが有力になっている。
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