主権の剥奪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 05:04 UTC 版)
この法によってインディアン保留地は個人所有のバラバラな土地へと分解された。こうして立法者たちはプロテスタント派キリスト教的な立ち位置から、インディアンの共同体を堕落させることで同化政策を進め、核家族化させ、小さな世帯に厳格に経済的に依存することの価値を教え込もうと望んだのである。 ヘンリー・ドーズらは、共同体的生活を「貧窮者」とみなした。インディアンの「富」に対する考えは、西欧の「富」に対する考えと対立し、一致しないものである。インディアンにとっては現在においても「いかに気前が良いか」が美徳であり、敬意を受ける行為であるが、対して白人の富に対する価値観は、個人が「いかに富を貯め込むか」に尽きるのであり(「アメリカン・ドリーム)、こうした考えを彼らは異民族に押しつけようとしたのである。 インディアン社会の社会基盤であった親族的結びつきはこうして分断され、保留地は碁盤目状になった。合衆国政府が余剰地を白人入植者に開放したことによって、碁盤目状の状態が生まれたのである。(Stremlau 276)ほとんどのインディアンの伝統的な社会構成とは反対に、すべての「家長」は男性とされ、男のみが160エーカーの土地割り当てを受けた。十八歳以上の個人と孤児の割り当ては、80エーカーだった。 この土地割り当て政策はインディアン社会を破壊し、インディアンをただの「自由身分の色つき(Free Persons of Color)とし、ジム・クロウ法によって差別される、アメリカ人貧困層民の状態に放置したのであった。
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