中国の皇太后
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 16:14 UTC 版)
太后という単語自体は、君主の母を指して用いられた言葉である。称号の初出は、秦の昭襄王は即位したあと、嫡母の恵文后と区別するため生母の羋八子(後世では宣太后と呼んでいる)に太后の号を授けた事例である。漢の時代から、在位中の皇帝の嫡母は皇太后となった。嫡母が既に亡くなった場合だけ皇帝の生母は皇太后の称号を授けられた(例:漢の文帝の生母薄姫)。明・清の時代では、在位中の皇帝の生母と嫡母を並び尊崇して「皇太后(前者を聖母皇太后、後者を母后皇太后)」と呼ぶ。敬称は殿下。 以下が皇太后の位に登ることはなかった場合である。 先代の皇帝は退位した場合には、太上皇帝となった。対応として太上皇帝の嫡妻は太上皇后と称され、皇太后と区別して用いられた。 先代の皇帝は在位中の皇帝と同一世代(兄弟・従兄弟)の場合には、先代の未亡人は皇太后ではなく「○○皇后」と呼んだ。例えば、漢の文帝が皇帝に即位後、兄孝恵帝の皇后張氏は夫の諡を重ねて「孝恵皇后」と呼ばれ、「孝恵帝の皇后」と読む。また明の嘉靖帝の即位後、従兄正徳帝の皇后夏氏は「荘粛皇后」の尊号を贈られた。 原則では、皇太后が追号として用いられたことはなかった。漢の昭帝の即位後、皇后を経ていない亡き母趙婕妤が皇太后を追号されたが、その後も例を見ない。 最初の皇太后は前漢の劉邦の皇后の呂雉である(『史記』によれば最初の皇帝秦の始皇帝の后妃は殉死させられたために皇太后に当たるものはいない)。最後の皇太后は清朝の光緒帝の皇后隆裕皇太后である。
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