両耳側半盲の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 02:50 UTC 版)
上のような構造の視神経が、視交差の内側部分、すなわち左右の視神経が乗り換える部分で障害されると、反対側の眼からの視覚情報が大脳に伝わらなくなる。例えば左の大脳は視界の「右側」にある映像を手に入れるが、視交差が障害されて、右眼からの情報、つまり「より右側の情報」が入手できなくなる。同様にして、右の大脳は「より左側の情報」が入手できなくなる。結果的には全視界のうちの「より両耳に近い情報」が入手できなくなってしまう。このようにして起こる病態が両耳側性半盲である。見え方は図1のとおりである。図2の視神経の経路を参照すれば、青い経路が障害されると、このような視野欠損が生じることがわかる。 このような現象が実際に起こりやすいのは、解剖学的に見て視交差の前後からこれを圧迫するような病態が多いからである。視交差の後ろには脳下垂体が存在するが、ここが脳腫瘍の好発部位であるため、下垂体腫瘍では両耳側性半盲をきたしやすい。他にも視交差を圧迫しやすい疾患として頭蓋咽頭腫がある。これに対して視交差の外側からの圧迫があると、上記の説明のまったく逆の現象、つまり「より内側の(鼻に近い)部分の視野情報」が障害される。これを両鼻側性半盲と呼ぶが、これを起こすような疾患がほとんどないため、臨床的にはあまり重要ではないのである。
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