不動産業への傾注
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 15:17 UTC 版)
「住宅金融専門会社」の記事における「不動産業への傾注」の解説
1980年代に入って大企業の間接金融離れが広がると、銀行が直接個人向け住宅ローン市場に力を入れはじめ、住専の市場を侵食し始めた。送り込んだ役員経由の顧客リストを基に、より低い金利を武器にして、母体行が取引先を肩代わり(住専にとっては繰り上げ償還)することで優良顧客を奪っていった。また財政投融資資金で長期・固定で低金利の融資を行っている住宅金融公庫も住専の市場を圧迫し、また大手信販会社も住宅ローン(又は銀行の住宅ローンの保証受託)に注力し始めた。このため、住専は融資先を求めて事業所向けの不動産事業へのめりこんでいった。それに乗じたのが母体行である。銀行本体では融資したくない相手だが、融資しなければ何かとまずい、という顧客をつぎつぎと住専に紹介した。暴力団がらみ、不良債権化している融資の肩代わり、焦げ付いた融資を引き受けさせる、といった不良債権のゴミ箱としての役割を担わされ始めた。 世はバブル景気であり、地価高騰により、住専の融資量は一気に膨らみ、特に1990年3月の総量規制が不動産向け融資は住宅金融専門会社を対象とせず、また、農協系金融機関は対象外とされたため 農協系から住宅金融専門会社、そして不動産投資へと資金が流れることとなった。住専には農林系金融機関(農林中央金庫、各県の信用農業組合連合会(信連)、全国共済農業協同組合連合会)を中心とした金融機関が貸し込んでいった。
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