三立型と二重斜格型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/21 22:39 UTC 版)
「アラインメント (言語学)」の記事における「三立型と二重斜格型」の解説
三立型(さんりつがた、tripartite)のアラインメントでは、S/A/Pの全てを別扱いする。たとえば、ヒンディー語では一部の名詞句がこのタイプの格標示を受ける。(4)では、Sには何も標示されず、Aは ne で、Pは ko で標示されている。 (4) a. laRkaa kal aay-aa. 少年 昨日 来る.AOR-SG.M S 「少年は昨日来た」 (5) b. laRke ne laRkii ko dekh-aa. 少年.OBL ERG 少女 ACC 見る.AOR-SG.M A P 「少年は少女を見た」 二重斜格型(double-oblique)のアラインメントでは、AとPが同じように扱われ、Sだけが区別される(S/A=P)。確かな例はロシャニ語(英語版)(イラン語群)などパミール高原の三つの言語しかない:36。たとえば、(5)では「誰」という意味の代名詞が、Sでは čāy という形なのに対して、AとPでは či という形になっている。AとPが同列に扱われ、Sだけが別扱いされている。このアラインメントは他動詞文中和型とも呼ばれる:32。 (5) a. čāy yat? 誰 来る.PST S 「誰が来たの?」 (5) b. či mum kitōb x̌ēyč? 誰 この 本 読む.PRF A P 「誰がこの本を読んだの?」 (5) c. tā virōd či wunt? あなたの 兄 誰 見る.PST A P 「あなたのお兄さんは誰を見たの?」 三立型および二重斜格型の格標示体系は、その他のものに比べて非常に稀である:125。これは、他動詞文における格標示の動機がAとPを区別するためだとすると、AとPのどちらかにSと異なる標識を付ければ事足りるからであると考えられる:125f.。つまり、AとPにそれぞれ別の標識を付けるのは過剰な区別であるために行なわれにくく、反対に、AとPに全く同じ標識を付けてしまうと区別ができなくなるために行なわれにくいと説明できる。
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