万有引力が要請する無限の宇宙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 03:16 UTC 版)
「オルバースのパラドックス」の記事における「万有引力が要請する無限の宇宙」の解説
しかしニュートン力学の登場とともに、無限の宇宙という考えは力学的な要請としても考えられることになった。 アイザック・ニュートンは、リチャード・ベントレー (Richard Bentley) から示唆を受けて、自ら定式化した引力のみの重力相互作用のもとで星々が互いに接近せずに安定したものであるためには、無限の宇宙とほぼ均一に分布する無数の星をもたねばならないと考えた。 もし宇宙が有限なら、星は互いの引力によって引き付けあい「全空間の中心に落ち込んで、一つの大きな球形の物体に固まる」だろうと考えられたからである。 ただし同時に無限に均一に星が広がった体系が針先で立った針のように力学的に不安定で、わずかな擾乱で崩れ去ってしまうことも認識し、『プリンキピア』第2版において、最終的に星が離れ離れであるのは神の摂理の現れなのだとした。 ニュートンの盟友であるエドモンド・ハレーは1721年の2つの短い論文で、昔ながらの「形而上学的パラドックスそのもの」とも見えるニュートンの無限の宇宙という考えの合理性を力説しているが、その中でおそらくケプラーの議論を踏まえ「もし恒星の数が有限の数以上のものであったなら、その見かけの天球の全表面は明るく輝くはずだろうという主張を聞いたことがある」として、それに反論を試みている。 しかし、そこでは混乱した数学的推論から長さと面積を混同し、明るさは2乗で変化するのに長さは1乗でしか変化しないとして、遠くの星々の寄与は距離とともに小さくなると誤って判断した。
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