ヴェルガ
ヴェルガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/10 03:11 UTC 版)
ジョヴァンニ・ヴェルガはシチリア島・カターニアの、裕福な不在地主階級家庭出身の小説家である。ミラノで同地の文筆界に交わった彼ははじめ情熱的な恋愛物をよくしたが、1880年にまとめられた短篇集『田舎の生活(Vita dei campi )』においては故郷シチリア島の風土、そしてその社会の底辺で生きる人物群をその題材に選んだ。 同篇中の最著名作『カヴァレリア・ルスティカーナ』では、主人公は貧しさゆえに兵役に従事し、その間に許婚者は裕福な馬車引きのもとに嫁ぎ、彼女を忘れられず重ねた不義の逢瀬のために主人公は決闘で無残にも殺される。また同じく『雌狼(La lupa )』では、最貧階層の女が狂気のような肉欲にのみ従って人生を歩むさまを描く。短篇集『田舎の生活』の底流に存在するのは、決して克服し得ない経済的・社会的な不平等・不条理であるが、主人公たちは自らの境遇・運命を、マルクス主義者のように搾取の問題、社会変革の必要性、などと結びつけて考えることもなく、ただ甘受するだけの存在として淡々と描かれている。 なお、ヴェルガにおいては自然主義の代表的作家エミール・ゾラの影響は顕著である。ヴェルガはゾラの有名な小説集ルーゴン・マッカール叢書に範をとった長編小説集『敗者たちの作品群(Il ciclo dei vinti )』を構想したが、生涯において完成をみたのは、うち『マラヴォリア家の人々(I Malavoglia )』(1881年)および『マストロ・ドン・ジェズアルド(Mastro Don Gesualdo )』(1889年)の2篇のみだった。
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