ヴァイマル共和国、憲法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 04:34 UTC 版)
「オットー・キルヒハイマー」の記事における「ヴァイマル共和国、憲法」の解説
ヴァイマル憲法は、市民革命を通じて勝ち取られ「神聖、天賦」とされた個人の自由・所有権を、社会権を通じて制限するという点で新しかった。しかし、私法(民法、商法など)においては、従来通り資本家の利害に基づいて所有権を擁護している。つまり、ヴァイマル共和国のもとでは、相矛盾する法体系が共存している。そのため、憲法の規定が抽象的であればあるほど、市場原理を擁護する私法が、社会権を掲げる憲法の理念を浸食することになる。議会制民主主義はこうした状況を克服するものではなく是認するものである、とキルヒハイマーは主張する。このため、彼はドイツ社会民主党(議会制民主主義の枠内で漸進的な社会改革を目指す)の姿勢を評価しない。憲法の理念がないがしろにされたまま、私法の領域が社会全体に浸食していくと、国家としての理念や政府の正統性が失われたまま、法的合法性のみが保障される。こうした状況下で、様々な利益団体の利害を代表する政党が議会政治の主体となったのでは、真の民主主義は実現されない。こうしたキルヒハイマーのヴァイマル共和国・ヴァイマル憲法批判には、若い頃に師事していたカール・シュミットからの影響を見いだすことができる。 しかし、世界恐慌後のドイツに対しての見解は、シュミットと大きな隔たりをみせる。ヒンデンブルク大統領が、大統領緊急令を濫発して権威主義体制を樹立させたことに対して、シュミットはこれを肯定するがキルヒハイマーは否定する。議会制民主主義に代わり主権者となるのは権威的な大統領でなく、労働者勢力の連帯に基づく正統な政治権力であるべきと考えていた。
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