レーダー式沿岸波浪計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 17:09 UTC 版)
レーダー式沿岸波浪計は、海岸から電波(マイクロ波)を海面に向けて発射し、 波浪に伴う海面の動きに応じてドップラー効果により変調された反射波を測定することにより、有義波高、有義波周期及び波向を求める。ここで利用する反射波は、風により海面に生じる「しわ」のような、 波長数センチメートル程度の小さな波(表面張力波)により反射された電波である。 送受波装置は、できるだけ沿岸地形の影響を受けない沖の波浪を観測するために、海岸の見通しの良い高台に設置されている。 送受波装置では、水平方向30度毎に6方向を向いたアンテナから順番に電波を発射して、アンテナの方向ごとに測定する。 1方向の測定は約2分間で、15分間に6方向を走査し、これを3回繰り返した結果を平均処理して波浪の観測値とされる。 観測データは気象庁本庁に伝送される。 気象庁本庁では、レーダーの運用状況を把握するほか、遠隔操作により観測を制御することができる。 レーダー式沿岸波浪計の特徴として、以下が挙げられる。 防災上重要な高い波高については、高い精度で観測できる。 超音波式沿岸波浪計に比べてより広い範囲(水平角度で120~180度の範囲)で平均した観測値が得られる。 海中に機器を設置していないため、機器の障害時に早急な対応が可能で、長期にわたる欠測がない。 風により生じる海面の小さな波による反射波を観測しているため、海上の風が弱い場合は、海面からの反射が弱くなり波浪を正確に測定できないことがある。
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