レジリエンス・解離しない能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 00:07 UTC 版)
「解離性同一性障害」の記事における「レジリエンス・解離しない能力」の解説
「解離の資質」は「脆弱性」 (vulnerability) ともいいなおされる。その「脆弱性」の反対の概念が「レジリエンス」(resilience)である。レジリアンスとも表記される。精神医学の世界では、ボナノ (Bonanno,G.) の「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」という定義が用いられることが多い。 何故これが問題になるのかというと、例えばPTSDである。1995年のアメリカの論文によると、アメリカ人の50% - 60%がなんらかの外傷的体験に曝されるという。しかしその全ての人がPTSDになるわけではなく、なるのはその8% - 20%とある。2006年の論文では、深刻な外傷性のストレスに曝された場合、PTSDを発症するのは14%程度と報告されている。では、なる人とならない人の差は何か、というのがこのレジリエンスである。 2007年にアーミッド (Ahmed) が、目に見えやすい性格的な特徴を「脆弱因子」と「レジリエンス因子」にまとめたが、そこで特徴的だったことは「レジリエンス因子」は「脆弱因子」のネガではないということである。「脆弱因子」を持っていたとしても、「レジリエンス因子」が十分であればそれが働き、深刻なことにはならない。その「レジリエンス因子」には「自尊感情」「安定した愛着」から「ユーモアのセンス」「楽観主義」「支持的な人がそばにいてくれること」まで含む。レジリエンスはいわば自発的治癒力である。この問題は、単になりやすい人、なりにくい人の差だけでなく、その治療にも大きなヒントを与えるものとして注目されている。
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