ラルフ・ダーレンドルフとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 人名 > 学者・研究者 > 社会学者 > 社会学者 > ラルフ・ダーレンドルフの意味・解説 

ラルフ・ダーレンドルフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/26 03:32 UTC 版)

ラルフ・ダーレンドルフ(1980年)

ダーレンドルフ男爵ラルフ・グスタフ・ダーレンドルフ(Ralph Gustav Dahrendorf, Baron Dahrendorf、1929年5月1日 - 2009年6月17日)は、ドイツ生まれのイギリス社会学者政治家である。壮年期以降はイギリスで活動した。

経歴

略歴

ハンブルク生まれ。ナチ党政権期に反国家活動に参加した友人を持っていたことにより、政治犯強制収容所へ送致された経験をもつ。このことがきっかけで、彼は政治の世界と深くかかわりを持つようになった。

政治家としては、1967年バーデン=ヴュルテンベルク州選出の自由民主党議員として西ドイツ連邦議会に議席を獲得して政界へ進出。西ドイツ政府の外務政務次官として活動し、ヨーロッパ共同体(EC)及び欧州委員会の外務・教育・科学等の分野における専門委員も歴任する。

1974年には研究生活へ戻り、ドイツだけではなくイギリスアメリカでも精力的に研究活動を行っている。イギリスのロンドンを拠点に活躍。1982年にSir(大英帝国勲爵士)の称号を授与される。1993年一代貴族のダーレンドルフ男爵に序され、イギリス貴族院議員となる。1989年にはジークムント・フロイト賞、2007年にはアストゥリアス皇太子賞の社会科学部門を受賞する。2009年6月17日、のためケルンで死去[1]

学問上の経歴

ハンブルク大学を卒業後、ハンブルク大学・コンスタンツ大学(自身が設立にかかわった)・テュービンゲン大学の教授を歴任。1974年から約10年間、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の学長を務め、1987年~1997年にオックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジの教授・学長を務めた。

社会学者としてのダーレンドルフは、タルコット・パーソンズ社会システム論に代表される均衡理論を批判し、マルクス階級闘争論をマックス・ヴェーバー権力概念によって再構築した独自の紛争理論を提唱したことで知られている。また、人間は社会においてそれぞれ与えられた役割にしたがって行動する存在であるというホモ・ソシオロジクス(社会学的人間)の概念を提起したことでも有名である。長年、ヨーロッパの社会学界に影響を与え続けた論客の一人である。

日本語訳著書

  • 『産業社会学』(千倉書房, 1961年)
  • 『産業社会における階級および階級闘争』(ダイヤモンド社, 1964年)
  • 『ホモ・ソシオロジクス――役割と自由』(ミネルヴァ書房, 1973年)
  • 『ダーレンドルフ社会理論論集(上)ユートピアからの脱出』(ミネルヴァ書房, 1975年)
  • 『ダーレンドルフ社会理論論集(下)価値と社会科学』(ミネルヴァ書房, 1976年)
  • 『ザ・ニューリバティ――ポスト「成長」の論理』(創世記, 1978年)
  • 『ライフ・チャンス――「新しい自由主義」の政治社会学』(創世記, 1982年)
  • 『ヨーロッパ経済の危機――岐路にたつ成熟社会』(日本経済新聞社, 1982年)
  • 『なぜ英国は「失敗」したか?』(TBSブリタニカ, 1984年)
  • 『経営社会学』(三嶺書房, 1985年)
  • 『新しい自由主義』(学陽書房, 1987年)
  • 『現代文明にとって「自由」とは何か』(TBSブリタニカ, 1988年)
  • 『ヨーロッパ革命の考察――「社会主義」から「開かれた社会」へ』(時事通信社, 1991年)
  • 『激動するヨーロッパと世界新秩序』(TBSブリタニカ, 1992年)
  • 『政治・社会論集――重要論文選』(晃洋書房, 1998年/増補版, 2006年)
  • 『現代の社会紛争』(世界思想社, 2001年)

参考文献

  • 檜山雅人『自由とライフチャンス――ダーレンドルフの政治・社会理論 一藝社)2011年(ルーサ・A・ウォーレス、アリソン・ウルフ(濱屋正男、寺田篤弘、藤原孝、八幡康貞共訳)『現代社会学理論』(新泉社)、Ruth A. Wallace and Alison Wolf: Contemporary Sociological Theory(Copyright 1980 by Prentice Hall Inc.)ISBN 4-7877-8503-6

出典

  1. ^ Ralf Dahrendorf gestorben - NZZ Online(ドイツ語)

ラルフ・ダーレンドルフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/26 04:16 UTC 版)

紛争理論」の記事における「ラルフ・ダーレンドルフ」の解説

ダーレンドルフは、マルクス階級闘争論を元に紛争闘争社会との相互関係分析した代表的な理論家一人である。彼は権力社会構造規定する基本的要素として捉え社会においては権力を持つ集団」(以下、権力側)と「権力持たない集団」(以下、非権力側)との間の利害対立によって絶え権力闘争引き起こされる状態にあるという認識立っている。

※この「ラルフ・ダーレンドルフ」の解説は、「紛争理論」の解説の一部です。
「ラルフ・ダーレンドルフ」を含む「紛争理論」の記事については、「紛争理論」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ラルフ・ダーレンドルフ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ラルフ・ダーレンドルフ」の関連用語

ラルフ・ダーレンドルフのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ラルフ・ダーレンドルフのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのラルフ・ダーレンドルフ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの紛争理論 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS