メルツァリオ・A2とは? わかりやすく解説

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メルツァリオ・A2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/03 09:45 UTC 版)

メルツァリオ・A2
カテゴリー F1
コンストラクター メルツァリオ
デザイナー ジョルジオ・ピオラ
アルトゥーロ・メルツァリオ
先代 メルツァリオ・A1
後継 メルツァリオ・A3
主要諸元
シャシー アルミニウムモノコック
トレッド 前:1530 mm
後:1570 mm
ホイールベース 2420 mm
エンジン フォード コスワースDFV 2,993 cc (182.6 cu in) V8 自然吸気, ミッドエンジン
トランスミッション ヒューランド FGA400, 5速
重量 595 kg
タイヤ グッドイヤー
主要成績
ドライバー アルトゥーロ・メルツァリオ
通算獲得ポイント 0
初戦 1979年アルゼンチングランプリ
備考 1979年アメリカ西グランプリ
出走 優勝 表彰台 ポール Fラップ
4 0 0 0 0
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メルツァリオ・A2 (Merzario A2) は、メルツァリオが開発したフォーミュラ1カー1979年F1世界選手権に投入された[1]。いくつかの文献ではA1Bと呼ばれることもある[2][3][Anm. 1]。前作のA1と密接に関連しているA2は4戦に参加し、2回しか決勝に進むことができなかった移行モデルであった。A2はF1世界選手権に出場するためにメルツァリオが設計した最後のレーシングカーであった。

背景

イタリアのレーサー、アルトゥーロ・メルツァリオ1972年から1976年までスクーデリア・フェラーリフランク・ウィリアムズ・レーシングカーズマーチ・エンジニアリングからF1に参戦した。マーチが1976年の終わりに契約を更新しなかった後、彼は自らのチームをロンバルディア州カラーテ・ブリアンツァに設立する。1977年シーズンにマーチのカスタマーマシン、761B(シャーシ番号761B/2)で参戦したが、そのマシンは実際には1976年[4]、またはそれ以前の1975年に製造された古いマシンであった[1][5]。マーチが77年をもってフォーミュラ1への関与を取りやめ、カスタマーマシンのサポートも中止されたため、メルツァリオはF1での活動を継続するため独自のレースカーを設計することにした。最初に製作したマシンは、2台のメルツァリオ・A1であった。1台目のA1/1は、技術的にはマーチ・761Bのレプリカであったが、独自のボディを持っていた。2台目のA1/2は古いマーチ・761BのモノコックにA1/1のボディが装着された物であった。A1は2台とも失敗作であった。1978年シーズン、予選を通過したのは8回であったが、いずれも完走できなかった。マシンはメンテナンスが不十分で、技術的な欠陥のためにレース中に頻繁に故障した。

A1は技術的に時代遅れであった。1978年以降、グラウンド・エフェクト効果のある車の優位性が予見できた。1975年にさかのぼる技術的概念で製作されたA1は、これらの要件を満たしていなかった。1979年シーズンに向けて、メルツァリオは独自のグラウンド・エフェクト・カーを開発した。これがメルツァリオ・A3として発表された。このモデルの運用準備は1979年春まで延期された。メルツァリオは1月に始まったシーズン初戦をA1の小改良版であるA2で戦うこととなった。

テクノロジー

メルツァリオ・A2は前年のA1/2とほぼ同じであり[6]、1975年または1976年に製造されたマーチ・761Bのモノコック(シャーシ番号761B/2)が使用された。技術的な変更はわずかであった。ノーズ部分には追加のクーラーが装着された。また、ボディのいくつかの部分の形状も変更された[2]。コクピットフェアリングのサイドエアインテイクは省略され、エンジンカバーはA1よりもスリムになった。A2の構造は「かさばらない」と表現された[1]。エンジンはA1同様に自然吸気のコスワースDFVが搭載された。動力はヒューランド FGA400を通して伝達された。

配色とスポンサー

メルツァリオのマシンは前年赤く塗られ、その後黒に変更されたが、A2は1979年シーズンのベーストーンとして黄色を塗装され、サイドポッドは黒く塗られた。配色はルノーのマシンを彷彿させた。スポンサーはマールボロ・イタリア、Flor Bath、RETEが付いた。

レース戦歴

A2は、1979年にアルトゥーロ・メルツァリオが独占的に使用した。開幕戦アルゼンチンでの予選では、メルツァリオはポールシッターのジャック・ラフィット(リジェ)よりも6秒以上遅かった。メルツァリオは予選22番手であった。彼はブラバムのニキ・ラウダ、そしてルノーのルネ・アルヌーの前でスタートした。メルツァリオは最初のラップでドロップアウトした。スタート直後、ジョディ・シェクター(フェラーリ)、パトリック・タンベイ(マクラーレン)、ネルソン・ピケ(ブラバム)、ディディエ・ピローニ(ティレル)らが衝突し、それを避けるためにメルツァリオはコースアウトしたが、その過程で彼はマシンのコントロールを失い、A2はひどく損傷した。クラッシュしたマシンを取り除いた後に再スタートが行われたが、修理は間に合わなかった。続くブラジルと南アフリカでは予選通過することはできなかった。

第4戦のアメリカ西グランプリではチーム初のグラウンド・エフェクト・カーであるA3がデビューした。メルツァリオは予選でA3を使用し、24番手のタイムを出した物のプラクティスの間にA3は不均一なロングビーチサーキットの路面でサスペンションに損傷を受け、短期間の修理はリスクが高すぎると考えられた。そのため、メルツァリオA2で決勝に出場した。14周目にエンジントラブルが発生、そのままリタイアとなった。

F1における全成績

(key) (太字ポールポジション

チーム エンジン タイヤ ドライバー 車番 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ポイント 順位
1979年 メルツァリオ フォード コスワースDFV G ARG
BRA
RSA
USW
ESP
BEL
MON
FRA
GBR
GER
AUT
NED
ITA
CAN
USE
0 -
アルトゥーロ・メルツァリオ 24 DNF DNQ DNQ DNF

参考文献

  • Adriano Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports, Motorbuch Verlag Stuttgart 1997, ISBN 3-613-01848-9
  • David Hodges: A-Z of Grand Prix Cars 1906-2001, 2001 (Crowood Press), ISBN 1-86126-339-2
  • David Hodges: Rennwagen von A-Z nach 1945, Stuttgart 1993, ISBN 3-613-01477-7
  • Mike Lawrence: March, The Rise and Fall of a Motor Racing Legend, MRP, Orpington 2001, ISBN 1-899870-54-7
  • Pierre Menard: La Grande Encyclopedie de la Formule 1, 2. Auflage, St. Sulpice, 2000, ISBN 2-940125-45-7
  • Doug Nye: Das grose Buch der Formel-1-Rennwagen. Die Dreiliterformel ab 1966. Verlagsgesellschaft Rudolf Muller, Koln 1986, ISBN 3-481-29851-X.

参照

  1. ^ a b c Abriss uber die Geschichte des Teams Merzario auf der Internetseite www.f1rejects.com (archivierte Version), abgerufen am 24. Oktober 2017.
  2. ^ a b David Hodges: A-Z of Grand Prix Cars 1906-2001, 2001 (Crowood Press), ISBN 1-86126-339-2, S. 170.
  3. ^ Renngeschichte des Autos auf der Internetseite www.oldracingcars.com, abgerufen am 24. Oktober 2017.
  4. ^ Ubersicht uber die einzelnen Exemplare des March 761 auf der Internetseite www.oldracingcars.com (abgerufen am 24. Oktober 2017).
  5. ^ Doug Nye: Das grose Buch der Formel-1-Rennwagen. Die Dreiliterformel ab 1966. Verlagsgesellschaft Rudolf Muller, Koln 1986, ISBN 3-481-29851-X, S. 216.
  6. ^ David Hodges: Rennwagen von A-Z nach 1945, Stuttgart 1993, ISBN 3-613-01477-7, S. 190.

備考

  1. ^ メルツァリオ・A1/1BはA2と区別する必要がある。A1/1Bは1978年フランスグランプリでデビューした、1978年シーズンに使用されたメルツァリオ・A1/1のわずかに変更されたバージョンである。

外部リンク




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