ミヤマクワガタ (植物)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/20 22:24 UTC 版)
ミヤマクワガタ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Pseudolysimachion schmidtianum (Regel) Yamazaki subsp. senanense (Maxim.) Yamazaki[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
Veronica senanensis、Veronica schmidtiana subsp. senanensis |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ミヤマクワガタ |
ミヤマクワガタ(深山鍬形、学名:Pseudolysimachion schmidtianum subsp. senanense)は、オオバコ科ルリトラノオ属の高山植物で、以前はクワガタソウ属 Veronica に含められていた。ミヤマとは山奥のことであり、クワガタとは果実に萼片がついている様子が兜のくわがた(V字形の角)に似ていることからこの名前が付いたといわれる。なお、同名の昆虫にクワガタムシ科のミヤマクワガタがある。
形態
高山の礫地や草原に生える宿根草で、草丈は15cmほど。雪解けとともに芽出しが始まり、その中心にはすでに花芽を抱えている。茎が立ち上がりながら花芽を伸ばし、初夏に10数輪の花を房状に咲かせる。花は紫色で 濃いスジがあり、花冠は4裂し、花茎の先に10数個の花をつけ、横向きに咲く。雄蕊及び雌蕊は花の外に飛び出している。果実は蒴果。茎は分かれず直立し、毛が生える。葉は根生葉(ロゼット)で、長さ2-4cm程度の卵状長楕円形、鋸歯があり、先端はとがっており、毛は生えない。葉は、花後にわき芽を出して広がる。
分布・生態
日本の固有亜種で、本州の中部以北(山形県[2]・福島県[1]から鳥取県[1])の高山帯(800-3,000m)に分布し、岩礫地や砂礫地に生えてい。地域変異が大きく、どこまでが基本種で、どこまでが亜種かの見解が常に定まらない植物でもある。花期は6-8月、地域によって花色が異なり、南アルプスでは赤みが強い。
基亜種との比較・亜種内の分類群

基亜種キクバクワガタ P. schmidtianum subsp. schmidtianum は、北海道と樺太の高山帯に分布し、全体に毛があり白っぽく、葉の鋸歯が深い点が形態の相違点である。
本亜種は花の色や分布などにより、いくつかの変種・品種、例えば、北海道に分布するエゾミヤマクワガタ var. yezo-alpinum 、白神山地に分布するシラガミクワガタ var. shiragamiense 、本州の奥羽山脈に分布するミチノククワガタ f. tomentosum 、山陰地方等に分布するダイセンクワガタ f. daisenense などに区別されるが、文献によって扱いが異なっている。例えば、YListや鮫島ら(1993)でエゾミヤマクワガタはキクバクワガタ subsp. schmidtianum の変種とされており、ダイセンクワガタは Flora of Japan[1]では認められていない。
種の保全状態評価
2025年現在、以下の都道府県のレッドデータブックに掲載されている[3]。
- 岩手県 - 3. 絶滅危惧Ⅱ類
- 山形県 - 3. 絶滅危惧Ⅱ類
- 群馬県 - 2. 絶滅危惧Ⅰ類
- 新潟県 - 6. 絶滅の恐れのある地域個体群
- 福井県 - 7. その他(都道府県独自のカテゴリなど)
- 島根県 - 2. 絶滅危惧Ⅰ類
脚注
参考文献
- 林弥栄編 『山溪カラー名鑑 日本の野草』 株式会社山と溪谷社、1983年、178頁、ISBN 4-635-09016-7
- 鮫島惇一郎ら 『新版 北海道の花 【増補版】』 北海道大学図書刊行会、1993年、238頁、ISBN 4-8329-1013-2
関連項目
外部リンク
- ミヤマクワガタの標本(新潟県と長野県との県境の雨飾山で1978年7月27日に採集) (千葉大学附属図書館)
- 簡易検索結果 ミヤマクワガタ - 米倉浩司・梶田忠 (2007-) 「植物和名ー学名インデックスYList」(YList)
- ミヤマクワガタとは|育て方がわかる植物図鑑 - みんなの趣味の園芸(NHK出版)
- ミヤマクワガタ_(植物)のページへのリンク