ミッチ・ウィリアムスとは? わかりやすく解説

ミッチ・ウィリアムス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/18 05:49 UTC 版)

ミッチ・ウィリアムス
Mitch Williams
2008年7月28日
基本情報
国籍 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州サンタアナ
生年月日 (1964-11-17) 1964年11月17日(60歳)
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 1982年 ドラフト8巡目
初出場 1986年4月9日
最終出場 1997年5月10日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ミッチェル・スティーブン・ウィリアムスMitchell Steven Williams , 1964年11月17日 - )はアメリカメジャーリーグで活躍した投手。左投左打。 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタアナ出身。 ニックネームは「Wild Thing」(映画「メジャーリーグ」のチャーリー・シーン扮する投手リッキー・ボーンの愛称に因む)。

人物・来歴

1986年テキサス・レンジャーズでメジャーデビュー。この年新人でいきなり80試合に登板し、新人の最多登板記録を更新。 1987年は85試合(自己最多)に登板し、108回2/3を投げて奪三振129、与四死球101。 1988年はクローザーも務め、16セーブをあげる。

1988年オフにラファエル・パルメイロらとの交換トレードシカゴ・カブスに移籍。 1989年に映画「メジャーリーグ」が封切られると、投げ終わって三塁側に倒れこむ程の力強いフォームから、時速90マイル(145km/h)を楽に越す速球を投げるが、コントロールが悪く、まさにリッキー・ボーン(チャーリー・シーンが演じる投手)のキャラクターそのもののようなウィリアムスを見たリグレー・フィールドのオルガン奏者が、映画の中でのリッキーの登場曲「Wild Thing」(演奏者はX)を演奏したところこれがマッチし、以後、同名の愛称がウィリアムスにつけられることとなった。後年、1993年以後は背番号も映画の中のリッキーと同じ「99」(時速99マイル=約159km/hの速球を投げることにちなむ)に変更した。

この1989年には、76試合に登板して4勝4敗36セーブの活躍でチームのナ・リーグ東地区優勝に貢献する。また、オールスター出場も果たした。 1991年にはフィラデルフィア・フィリーズに移籍し、この年は12勝5敗30セーブをあげる。特に8月には8勝をあげた。 1992年も29セーブをあげる。 そして1993年には自己最多の43セーブをあげ、チームの地区優勝に貢献。

アトランタ・ブレーブスとのナ・リーグチャンピオンシップシリーズでは2勝2セーブをあげて4勝すべてに貢献して、チームをワールドシリーズに導く(ただし、2勝はいずれもセーブ失敗してついたもの)。 そして、トロント・ブルージェイズとのワールドシリーズが、野球人生を暗転へと追い込むこととなってしまった。 第2戦ではセーブをあげるが、乱打戦となった第4戦で、フィリーズは最大5点差をつけていたが8回にブルージェイズが猛攻。 ウィリアムスも登板したが14対15と逆転を許し、敗戦投手となった。フィラデルフィアのファンはブーイングだけでは収まらずに、ウィリアムスに襲いかかった。なお、この試合の両チーム合計29得点はワールドシリーズ記録である。

さらにフィリーズの2勝3敗で迎えた第6戦。フィリーズは7回にレニー・ダイクストラの3点ホームラン等で5点を奪って6対5と逆転。 そして、3勝3敗のタイに持ち込むべく、満を持して9回にウィリアムスをマウンドへ送ったが、2走者を出してジョー・カーターに投じた渾身のスライダーを逆転サヨナラ3ランホームランとされてしまった。 ワールドシリーズがサヨナラホームランで幕を閉じるのは1960年(打ったのはピッツバーグ・パイレーツビル・マゼロスキー)以来33年ぶりとなった。

さらに、悪送球となった牽制球が一塁手ジョン・クルックの股間を直撃し、保護カップがウィリアムスの「速球」に役に立たず、それが原因でクルックが精巣癌となり、結果として選手生命を短くするという事故もあり、これらの精神的なショックから立ち直ることができず、 1994年ヒューストン・アストロズに移籍して1勝4敗6セーブ、防御率7.65の散々な成績に終わる。 1995年カリフォルニア・エンゼルス、1年おいて1997年カンザスシティ・ロイヤルズでプレイするが、セーブすらあげることができず、1997年限りで現役引退した。

通算192セーブは2011年終了時点でメジャー歴代46位。

691回1/3を投げて660奪三振は9イニング平均8.59。四球も544あり、こちらは7.08。2011年シーズン終了時点で通算セーブでメジャー歴代50位以内に入っている投手(以下同様)で、9イニングあたりの平均与四球が5以上という投手は他になく、最高でもアーマンド・ベニテスの4.66。4.0以上も他にグレッグ・オルソン(4.42)、ランディ・マイヤーズ(4.03)、フランシスコ・コルデロ(4.08)、ブラッド・リッジ(4.24)だけであり、ウィリアムスの荒れ球・制球難が相当のものであったことは、これだけで十分に説明がつく。WHIP(投球回あたり与四球・被安打数合計)は1.56で、通算セーブ歴代50傑で最下位。ただし通算の被打率は.218で、この点ではほぼ同時期の活躍になるリー・スミス(.237)、デニス・エカーズリー(.243)、デーブ・リゲッティ(.244)、グレッグ・オルソン(.239)、ランディ・マイヤーズ(.233)らよりも優れている。

前出のジョー・カーターにHRを食らった試合の解説(NHK BS)は星野仙一であったが、あまりの荒れ球に「私ならこんな投手は使わない」と憤慨していた。その発言の後、HRを打たれてしまった。

1993年7月2日サンディエゴ・パドレス戦では延長14回に登板し、クローザーには珍しいサヨナラヒットを打つ。この試合はダブルヘッダーの第二試合で、雨による中断もあったため第一試合の試合開始から12時間以上に及ぶロングゲームで、時刻は翌日未明4時40分。相手投手はトレバー・ホフマンであった。そもそも打席に立ったのも、このシーズン65試合に登板してこの一度だけであった。通算でもわずか16打席のみだが、このサヨナラヒットも含めて3安打。1989年にはホームランも打っている。

メジャーからの引退後、2001年独立リーグアトランティックシティ・サーフドッグスで現役復帰。 2002年2003年は同チームの監督を務める。 現在はフィラデルフィアでラジオ番組のパーソナリティを務めるほか、フィリーズの試合の解説も務める。

詳細情報

年度別投手成績 (MLB)





















































W
H
I
P
1986 TEX 80 0 0 0 0 8 6 8 - .571 435 98.0 69 8 79 8 11 90 5 5 39 39 3.58 1.51
1987 85 1 0 0 0 8 6 6 - .571 469 108.2 63 9 94 7 7 129 4 2 47 39 3.23 1.45
1988 67 0 0 0 0 2 7 18 - .222 296 68.0 48 4 47 3 6 61 5 6 38 35 4.63 1.40
1989 CHC 76 0 0 0 0 4 4 36 - .500 365 81.2 71 6 52 4 8 67 6 4 27 25 2.76 1.51
1990 59 2 0 0 0 1 8 16 - .111 310 66.1 60 4 50 6 1 55 4 2 38 29 3.93 1.66
1991 PHI 69 0 0 0 0 12 5 30 - .706 386 88.1 56 4 62 5 8 84 4 1 24 23 2.34 1.34
1992 66 0 0 0 0 5 8 29 - .385 368 81.0 69 4 64 2 6 74 5 3 39 34 3.78 1.64
1993 65 0 0 0 0 3 7 43 - .300 281 62.0 56 3 44 1 2 60 6 0 30 23 3.34 1.61
1994 HOU 25 0 0 0 0 1 4 6 - .200 106 20.0 21 4 24 2 1 21 1 0 17 17 7.65 2.25
1995 CAL 20 0 0 0 0 1 2 0 - .333 65 10.2 13 1 21 0 2 9 2 1 10 8 6.75 3.19
1997 KC 7 0 0 0 0 0 1 0 - .000 38 6.2 11 2 7 1 0 10 2 0 8 8 10.80 2.70
通算:11年 619 3 0 0 0 45 58 192 - .437 3119 691.1 537 49 544 39 52 660 44 24 317 280 3.65 1.56
  • 「-」は記録なし。
  • 太字はリーグ1位。
  • 1996年は試合出場なし。

獲得タイトル・表彰・記録

背番号

  • 28 (1986年 - 1992年)
  • 99 (1993年 - 1995年)
  • 49 (1997年)

外部リンク





固有名詞の分類

アメリカ合衆国の野球選手 グレン・パーキンス  トニー・グウィン・ジュニア  ミッチ・ウィリアムス  マイケル・バレット  ケイソン・ギャバード
シカゴ・カブスの選手 ダグ・クリーク  マイケル・レストビッチ  ミッチ・ウィリアムス  マイケル・バレット  福留孝介
フィラデルフィア・フィリーズの選手 ケーシー・ステンゲル  クリス・コースト  ミッチ・ウィリアムス  ピート・アレクサンダー  フェルナンド・バレンズエラ
テキサス・レンジャーズ及びその前身球団の選手 アーマンド・ガララーガ  クリス・レイ  ミッチ・ウィリアムス  ケイソン・ギャバード  マイク・バシック
ロサンゼルス・エンゼルス及びその前身球団の選手 デリック・ターンボウ  グレッグ・ジェフリーズ  ミッチ・ウィリアムス  フェルナンド・バレンズエラ  ジェフ・マシス
カンザスシティ・ロイヤルズの選手 フィル・ハイアット  ボブ・メルビン  ミッチ・ウィリアムス  ブライアン・バニスター  アーニー・ヤング
ヒューストン・アストロズの選手 ジム・バウトン  レオン・マックファーデン  ミッチ・ウィリアムス  ジム・ジェンタイル  ジェリー・ロイス

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