マック構造の衰退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/15 06:04 UTC 版)
詳細は「ガスタービンエンジン#軍用艦艇」、「ディーゼルエンジン#船舶」、および「蒸気タービン#蒸気タービンの開発・実用化」を参照 しかし、1960年代から軍艦、特に戦闘艦艇の主機関が蒸気タービン機関からディーゼル機関やガスタービン機関へと移行し始めると、戦闘艦艇の設計においてマック構造を導入する例は急速に減っていった。 特に従来の蒸気機関やディーゼル機関よりも高温の排気を大量に排出するガスタービン機関を使う場合、煙突を大きく低くして大量の排気を効率よく排出できるようにする必要があるが、マック構造ではレーダーアンテナを設置する必要上煙突もある程度高くしなければならない点で前述の条件と矛盾する。またマック構造では排気口とレーダーアンテナとの距離を開けにくい上に、レーダーアンテナがガスタービン機関からの高温排気に晒される可能性が高く、電子部品の劣化や故障などを招きやすくなる弱点がある。 このため、ガスタービン機関を主機関として搭載することが主流となった巡洋艦や駆逐艦、大型のフリゲート艦などの主力戦闘艦艇では、低く太い煙突とレーダーアンテナ類を搭載するための高いトラス型マストないし塔型マストを設置する構造が主流となっている。 蒸気タービン機関を使用するノックス級フリゲート。艦体中央部にマックがあり、ボイラーからの排煙はアンテナ類基部の左右に設けられたスリット型排気口から排出する。 ガスタービン機関(COGAG方式)を使用するオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート。76mm砲とファランクスCIWSの間に設置された煙突は極度に太く短くなっており、アンテナ類は2本のトラス型マスト上に設置されている。 主機関がディーゼル機関のみで構成された戦闘艦艇の場合、ディーゼル機関は蒸気機関のような煙突効果を必要としないためにマック構造を積極的に採用する意義に乏しいが、一部の艦艇にはマック構造と解釈できるような構造をした艦艇もある。 ディーゼル機関を採用した、デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦トラス型マストの支柱が煙突の淵から、煙突の上に覆いかぶさるように伸びており、煙突の上にレーダーアンテナが配置されているので、マック構造の一種とも解釈し得る。 CODAD機関を採用した、ラファイエット級フリゲート後部マストがマック構造となっており、主機関からの排煙が確認できる。 CODAD機関を採用した、江凱II型(054A型)フリゲート煙突前部から伸びたマストの上に球型のレドームが乗せられたマック構造を採用している。
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