マクロバランスとの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 06:45 UTC 版)
財政の信認が失われると、国債金利の暴騰・国債暴落が起こり、同時に通貨の信認も失われる。ここで重要な事は通貨の種類である。通貨発行権を持つ政府の場合、自国通貨建ての債務が増加してもそれが返済不能に陥ることはない。しかし、ユーロ圏の国家や、外貨建てで債務を抱えている場合は、徴税や通商取引で債務返済の財源となる通貨を確保するしかないため、債務が巨大になりすぎると信用リスクが膨らみ国債金利の暴騰・国債暴落とそれに伴う通貨安が発生する事となる。 エコノミストの村上尚己は「政府部門は、本質的に企業・家計などと全く異なる性質を持っている。一国の経済全体は、政府部門だけで成り立っているわけではない。家計・企業など民間部門の経済行動を合わせて、『国の借金』を考えなければ問題の本質は見えてこない。財政の専門家は、政府部門だけに着目して財政赤字を論じるので、処方箋は税制変更(増税)や歳出抑制だけになる。政府部門の財政赤字の問題は、一国経済全体の広い視点で捉えて、処方箋を考えることができる」と指摘している。村上は「一国経済全体のパフォーマンスは突き詰めれば、民間の経済活動によって決まる。民間主導で経済活動が活発化することによって、政府の財政赤字を減らすことにつながる」と指摘している。 また、社会保障が充実している成熟型社会では、高齢化の進展による社会保障給付の拡大が財政支出を拡大させるため財政赤字が膨らむ。UFJ総合研究所調査部は「成熟型社会では高い成長が見込めないため、制度を工夫しコストを抑制するとともに社会を効率的に運営していく必要がある」と指摘している。
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