ポリネシア人アメリカ大陸発見説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/05 02:08 UTC 版)
「アメリカ大陸の発見」の記事における「ポリネシア人アメリカ大陸発見説」の解説
太平洋の島々(ポリネシア)に住むポリネシア人がアメリカ大陸へ到達していたとする説がある。 ポリネシア人が住む最も東の島であるイースター島は、ユーラシア大陸のマレーシア・ジョホール州南端から約15400km、オーストラリア大陸のオーストラリア・ビクトリア州東端から約9100km、アメリカ大陸のチリ・ビオビオ州西端から約3500kmの地点に位置し、地理的に最も近いのはアメリカ大陸である。ユーラシア大陸からここまで離れた島々へ移り住むほどの優れた航海技術を持っているならば、アメリカ大陸まで到達することも可能だったのではないかという考えからこの説が生まれた。ポリネシア人がアメリカ大陸を発見していた可能性はあるが、2019年現在、それを示す確たる証拠はない。 従来、この説の最大の根拠とされていたのは、ポリネシア人がサツマイモを栽培していたことである。サツマイモは南アメリカ原産の作物であるが、放射性炭素年代測定によってポリネシアのクック諸島には西暦1000年頃にはすでにサツマイモが存在したことが分かっている。しかし、その後2018年にサツマイモの遺伝子調査が行われ、ポリネシアのサツマイモは11万年前に南アメリカのサツマイモから分化した種であることが判明した。ポリネシアに人が住み始めたのは紀元前10世紀頃とされているので、ポリネシアのサツマイモは人の手によって持ち込まれたのではなく、人が住み始めるよりも前に鳥などによって自然にもたらされたことになる。 2007年には、南アメリカのチリで発見されたニワトリの遺伝子が、ポリネシアのアメリカ領サモアやトンガのニワトリと一致しているとする研究が発表され、ポリネシア人とアメリカ大陸との接触を示す新たな証拠として注目された。しかし、他の研究者からは、現代のニワトリの遺伝子の混入が原因であるとして否定的な見解が繰り返し示されている。 このほか、イースター島のモアイは、アメリカの古代文明の影響によって作られたのではないかなど様々な仮説が立てられているが、真相の解明には至っていない。
※この「ポリネシア人アメリカ大陸発見説」の解説は、「アメリカ大陸の発見」の解説の一部です。
「ポリネシア人アメリカ大陸発見説」を含む「アメリカ大陸の発見」の記事については、「アメリカ大陸の発見」の概要を参照ください。
- ポリネシア人アメリカ大陸発見説のページへのリンク