ヘリウム原子の基底状態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/28 00:15 UTC 版)
「変分法 (解析力学)」の記事における「ヘリウム原子の基底状態」の解説
ヘリウム原子(英語版)は、質量M ≫ mと電荷 +2eの実質的に固定された核の周りの、質量電荷mと電荷 −eを持つ2個の電子から構成される。微細構造を無視したハミルトニアンは、 H = − ℏ 2 2 m ( ∇ 1 2 + ∇ 2 2 ) − e 2 4 π ϵ 0 ( 2 r 1 + 2 r 2 − 1 | r 1 − r 2 | ) {\displaystyle H=-{\frac {\hbar ^{2}}{2m}}(\nabla _{1}^{2}+\nabla _{2}^{2})-{\frac {e^{2}}{4\pi \epsilon _{0}}}\left({\frac {2}{r_{1}}}+{\frac {2}{r_{2}}}-{\frac {1}{|\mathbf {r} _{1}-\mathbf {r} _{2}|}}\right)} となり、ħは換算プランク定数、ε0は真空の誘電率、 ri (for i = 1, 2) は核からのi番目の電子の距離、 |r1 − r2| は2つの電子間の距離である。 2つの電子間の反発を表わす項 Vee = e2/(4πε0|r1 − r2|) が考慮されなければ、ハミルトニアンは核電荷 +2eを持つ2つの水素様原子のハミルトニアンの和となる。基底状態エネルギーはその結果8E1 = −109 eVとなり(E1はリュードベリ定数)、その基底状態波動関数は水素様原子の基底状態に対する2つの波動関数の積となる。 ψ ( r 1 , r 2 ) = Z 3 π a 0 3 e − Z ( r 1 + r 2 ) / a 0 {\displaystyle \psi (\mathbf {r} _{1},\mathbf {r} _{2})={\frac {Z^{3}}{\pi a_{0}^{3}}}e^{-Z(r_{1}+r_{2})/a_{0}}} 上式において、a0はボーア半径、Z = 2はヘリウムの核電荷である。ψ0によって記述されるこの状態の全ハミルトニアンH(項Veeを含む)の期待値はその基底状態エネルギーについての上界となる。
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