ヘリウムのλ点と三重点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 14:33 UTC 版)
1気圧におけるヘリウムの沸点は 4.2 K である。この温度で気液平衡にあるヘリウムを徐々に排気していくと、蒸気圧曲線に沿ってヘリウムは 4.2 K から徐々に冷却されていく。温度が 2.1768 K に達すると、液体ヘリウムは超流動相に相転移する。このときの圧力は 5042 Pa で、この温度・圧力をヘリウム4のλ点という。このλ点は、相図上では気相と常流動相(He-I)と超流動相(He-II)の三相に囲まれているので、ヘリウムの三重点のひとつとみなされることがある。ただし、IUPACの定義によれば、λ点は三重点ではない。なぜなら常流動相から超流動相への相転移は連続相転移(二次相転移)なので、常流動相と超流動相は相として共存することがないからである。 常流動相から超流動相への相転移温度は、相図では He-I と He-II の境界線で表される。これをλ線という。λ線と融解曲線の交点もヘリウム4のλ点という。このλ点の温度と圧力は 1.762 K, 30.11 bar である。 相図から分かるように、ヘリウムは25気圧以上に加圧しないと結晶化しない。そのため、ヘリウムには気相-液相-固相の三重点は存在しない。 右の相図では略されているが、ヘリウムの固相として、六方最密構造(hcp)の相と体心立方構造(bcc)の相が知られている。hcpは低温高圧で安定な相であり、図に示されている固相のほとんどの領域で安定な相である。それに対してbccは、λ線と融解曲線の交点付近の狭い温度圧力領域で安定な相である。これら二つの固相は液相とあわせて三相共存できるので、ヘリウムには固相-固相-液相の三重点が二つ知られている。 ヘリウム4のλ点と三重点相温度 / K圧力 / PaHe-I/He-II/気相2.1768 5042 He-I/He-II/bcc1.762 3.011×106 hcp/bcc/He-I1.772 3.041×106 hcp/bcc/He-II1.463 2.638×106
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