パースの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 10:09 UTC 版)
記号学の先駆者であったパースだが、存在グラフはパースの論理学者/数学者としての業績の中では奇妙なものである。パースの論理グラフは彼の数ある業績の中のごく一部に過ぎない。1867年からの一連の論文と、その集大成とも言うべき1885年の American Journal of Mathematics に掲載された論文で、パースは二値ブール代数、命題計算、量化と一階述語論理、初歩的な集合論といった業績を上げている。モデル理論の先駆者とも言われている。また、オーガスタス・ド・モルガンの relation algebra の拡張も行った。彼はメタ論理学の手前まで研究していた。 しかし、パースは記号学の理論を発展させる過程で、線形(1次元)の記法で論理を定式化する記法を疑問視し、2次元(さらには3次元)で論理や数学を表すことを好むようになった。彼はオイラー図やベン図を進化させた。フレーゲも1879年の Begriffsschrift で論理を2次元で表記しているが、パースのものとはかなり異なる。 パースの論理グラフに関する最初の論文では、アルファ存在グラフと実質的に対をなす体系を提案しており、これを事物グラフ(entitative graph)と呼んだ。しかし間もなく存在グラフを考案すると、事物グラフは捨ててしまった。論理グラフは存命中も注目されることはなく、死後も無視され続けた。評価されるようになったのは、Roberts (1964) と Zeman (1964) からである。
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