パルメニデスとアリストテレスの対話(予備練習)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 23:21 UTC 版)
「パルメニデス (対話篇)」の記事における「パルメニデスとアリストテレスの対話(予備練習)」の解説
パルメニデスはまず、「「一」があるならば」という前提の下で、「一」がどうであるのかの考察を(否定的帰結(~でない)・肯定的帰結(~である)の両面で)進め、続いて同じ前提の下で「一」以外がどうであるかの考察を(肯定的帰結・否定的帰結の両面で)進める。続いて「「一」がないならば」と前提を否定形にしつつ、「一」がどうであるのか、「一」以外がどうであるのかを(肯定的帰結・否定的帰結の両面で)考察していく。 その結果、帰結において同じような内容が肯定的にも否定的にも承認・容認される格好となり、最終的に「「一」があるとしてもないとしても、「一」と「一」以外は、「自分自身に対する関係」と「相互の関係」において、「あらゆる仕方」で「あらゆるもの」であるとともにまたないのであり、そう見えるとともにまた見えないことになる」という奇妙な結論に至ることになる。 「一」があるならば、「一」は(否定的帰結)「多」ではない。 「部分」でも「全体」でもない。 「始め」も「終わり」も「中間」もない。 「限り」もない。 「形」もない。 (「他者の内」にも、「自分の内」にも)「存在」しない。 (「変化」や「運動」としての)「動」も「不動」もない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「同一」でも「不同一」でもない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「類似」でも「不類似」でもない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「等」でも「不等」でもない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「年長」でも「年下」でも「同年」でもない。 「時間」を分有したり、その内にあることもない。 「有」を分有しない。 (したがって)「ない」。 それに対する「名前」も「説明(命題)」も「知識」も「感覚」も「思いなし」もない。 「一」は(肯定的帰結)「有」を分有している。 「全体」でも「部分」でもある。 「多」でも「無限」でも「有限」でもある。 「始め」も「終わり」も「中間」もある。 (「自分の内」にも、「他者の内」にも)ある。 「動」でも「不動」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「同一」でも「不同一」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「類似」でも「不類似」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「接触的」でも「非接触的」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「等」でも「不等」でも「多」でも「少」でもある。 「時間」を分有する。 (「自分自身」や「他のもの」と)「年長」でも「年下」でも「同年」でもある。 「有」を分有する。 それに対する「名前」も「説明(言論)」も「知識」も「感覚」も「思いなし」もある。 「一」以外は(肯定的帰結)「部分」を持ち、「全体」と「一」を分有する。 「多」であり「無限」であり、「限界」も分有する。 (「自分自身」や「他のもの」と)「類似」でも「不類似」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「同一」でも「不同一」でもある。 「動」でも「不動」でもある。 以上のようなおよそ正反対の規定の全てを受け入れる。 「一」以外は(否定的帰結)(どのようにしても)「一」ではない。 「多」でもない。 「全体」でも「部分」でもない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「類似」でも「不類似」でもない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「同一」でも「不同一」でもない。 「動」でも「不動」でもない。 「生」でも「滅」でもない。 「大」でも「小」でも「等」でもない。 「一」がないならば、「一」は(肯定的帰結)それに対する「知識(理解)」が存在する。 「異」がある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「類似」でも「不類似」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「等」でも「不等」でもある。 「有」も「非有」も分有する。 「変・動」(生・滅)でも「不変・不動」(不生・不滅)でもある。 「一」は(否定的帰結)「有」を分有しない。 「変・動」(生・滅)でも「不変・不動」(不生・不滅)でもない。 「大」でも「小」でも「等」でもない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「類似」でも「不類似」でもない。 (「自分自身」や「他のもの」と)「同一」でも「不同一」でもない。 それに対する「知識」も「思いなし」も「感覚」も「説明(言論)」も「名前」もない。 「一」以外は(肯定的帰結)「無限」であり「有限」であり、「一」であり「多」である。 (「自分自身」や「他のもの」と)「類似」でも「不類似」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「同一」でも「不同一」でもある。 (「自分自身」や「他のもの」と)「接触的」でも「非接触的」でもある。 「動」(生・滅)でも「不動」(不生・不滅)でもある。 「一」以外は(否定的帰結)「一」でも「多」でもないし、そう「思わく」されることもない。 「類似」でも「不類似」でもない。 「同一」でも「不同一」でもない。 「接触的」でも「非接触的」でもない。 何ものもない。 結論「一」があるとしてもないとしても、「一」と「一」以外は、「自分自身に対する関係」と「相互の関係」において、「あらゆる仕方」で「あらゆるもの」であるとともにまたないのであり、そう見えるとともにまた見えないことになる。
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