ハード・パワーとソフト・パワーの相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 02:35 UTC 版)
「ソフト・パワー」の記事における「ハード・パワーとソフト・パワーの相互作用」の解説
また、ジョセフ・ナイはソフト・パワーとは時にハード・パワーと補完し合うこともあれば対立することもあるということを指摘する。自国の人気を上げたい国家はハード・パワーを行使すべきときにそれを行使することを嫌い、ソフト・パワーに与える影響を無視してハード・パワーを行使すれば他国の妨害に遭う場合もあることによるからである。 特に2003年以降のイラク戦争はソフト・ハード両方のパワーの相互関係をみる上で好例である。ブッシュ政権やネオコンがイラク戦争開戦に踏み切った一部の動機として、ハード・パワーから見た場合、かつてアメリカがイラクと交戦した湾岸戦争がその後の中東和平に繋がったこともあり、再び核保有疑惑やテロリズムの温床となっている中東地域に同様の結果を生み出そうという考えや、イラン、シリア等の中東において見られるテロリストへの支援を抑制させようということが挙げられる。ソフト・パワーの側面から見た場合、イラクに民主主義を輸出し、政治体制の変革をもたらそうという動機があったとし、ネオコンの政策が成功すればイラク戦争がその結果により正当化されていたはずであるとしている。しかし、結果としてアメリカのイラク戦争は、ヨルダンやインドネシアなどの友好国の国民からも反発を買い、同時多発テロ事件に集められたアメリカへの同情と共感が消えたと指摘し、ハード・パワーとソフト・パワーが分かちがたく結びついていると述べている。
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